じつは8日(火)、急に思い立って若菜晃子『東京周辺ヒルトップ散歩』を片手に、栗平丘陵を歩いてきた。小田急多摩線栗平」から、隣り駅「黒川」へ。住宅地を離れ、ちょうど神奈川と東京の県境をなぞる、丘陵地の馬の背のようになった、土の尾根道があり、ここが整備され散歩コースとなっている。山道ほど険しくない、適当なアップダウンのある、両側をこんもりした樹木に囲まれたコース。けっこう足腰にきて、汗もぶるぶるかいた。地上の音はほとんど届かず、鳥の声のみしきりに聞こえる。
真光寺公園というのが目的地。斜面になった芝を持つ、静かな公園で、大きな池にはカメがたくさん泳いでいた。ところが、ここから黒川駅へ向う「細い土道」というのが見当たらず、右往左往し、あきらめ鶴川街道でバスを待つ。京王相模原線若葉台」駅へ、ここが終点。沿線では駅周辺が開発された大きな駅だ。稲田堤経由で、南武線に。「ブ」を覗くと、二階単行本棚前で、アゴの小さなメガネ、小柄の男性がすでに4、5冊抱えている。見ると、村上龍・春樹『ウォーク・ドント・ラン』がある。それに巌谷國士の映画論(たぶん青土社『映画の一季節』)も。むむむ。あきらかに「できる」御仁だ。それにまだ物色しているので「おい、もうええやろ!」と声をかけそうになる。
移動の車中で中島京子『小さなおうち』を読了。堪能する。映画を先に見たのだが、映画では描かれていない謎や、モダン都市東京の詳細な記述など、映画と小説、両方の長所と短所について考える。これは、いい小説でした。