庄野潤三親子小説集『親子の時間』(夏葉社)解説、二校ゲラをどうにか送付。これで手を離れた。校正は水玉さん。さすがに丁寧に見てくれて、ずいぶん助かりました。庄野夫人、長女の夏子さんからも手紙をいただき、ちょっと武者震いする。装幀は和田誠さん。できあがるのがぼくも楽しみ。
まだ、解説を書くための、別の大きいゲラを抱えていて、こちらはまだ手つかず。どうしよう。三日サボったおかげで、月末にツケがあれこれ来る。ビブリオ「うちわ展」の手書きうちわ5枚をなんとか完成させ、十松くんに届ける。すでに完成ずみのほかの方の作品を見て、自分のものが拙く見える。でも、まあ仕方ない。
昼、「ほっともっと」幕の内「梅」を食べながら、BSで「フリックストーリー」を観る。何度目かなあ。しかし、ずいぶん細部を忘れている。アラン・ドロン扮する敏腕刑事は、取り調べに暴力を用いない。それをする同僚に苦言を呈すると、「おまえは甘すぎる」と批判される。そこで、アラン・ドロンは、尊敬する兄がドイツ軍のゲシュタポに捉えられ、拷問の末に死んだと告げる。だから、拷問はしないと。
トランティニャン扮する酷薄な犯人は、顔色を変えず、簡単に人を殺す。読む新聞は高級紙「フィガロ」。そのことをアラン・ドロンに指摘されると、「フィガロを読んでいると、大衆は信用するんだ」と言う。へえ、そんなセリフあったか。ぼくは好きな映画だ。三船敏郎仲代達矢で、黒澤がリメイクすると、どんな映画になるだろう、などと考える。あ、三船が刑事ですよ。