珍しく目覚めたら10時半。たいてい途中で目覚めるのだが、8時間以上、たっぷり眠ったらしい。古本屋の夢で眼がさめる。
昨日は、夜、西荻。「団塊スタイル」ディレクターのFさんが、ぼくと音羽館広瀬くんを、お礼にと、宴を持ってくれた。「風神亭」へ。3時間半ほど、あれこれ喋る。「お世辞ではなくて、岡崎さん、みなさんに評判よかったんですよ」と言われ、照れる。ほめられると、亀が甲羅に首をつっこむようになってしまうのは、自意識の過剰か。
Fさんを見送って、広瀬くんとさらにハンバーガー屋でコーヒー飲みながら情報交換。へえ、そうだったのという話いくつか。
en-taxi」連載「ここが私の東京」次回を、藤子不二雄まんが道」と決めて、数日、あれこれ動き出す。しかし、いざとなるとあるはずの本が、本の山に埋もれたか、見つからない。図書館にある、というような本ではないし、困った困った。最近出た、藤子不二雄Aメモリアル、みたいな大判の本は手に入れた。これに「テラさんからの手紙」が全頁復刻されている。これだけでも買う価値あり。ひさしぶりに「松葉」でラーメン、喰うか。
池袋の秘境と言われた「古書 ますく堂」が今月いっぱいで、すぐ近くの店舗に移転。いい場所だ。谷底から陽の当たる場所へ出てきたような。「ますく堂」ブログに注目! あと、自力で本を運ぶと言っているので、屈強な男性客は駆けつけて手伝ってあげてください。
http://d.hatena.ne.jp/mask94421139/
ある種の「勘」で古本屋の均一で買った、唐作桂子という未知の詩人の詩集『川音にまぎれて』書肆山田が、よかった。表題の一編を全編引く。
「その先に思いを馳せることができる/ゆたかな川にはいくつか橋がかかっていて/電車のための橋と/車とひとのための橋がある
 水辺へ 水がたえず移動する場所へと/ひき寄せられる/順に橋をわたりつづけ/あと何メートルという表示は見えない
 ひととき/忘却するはずのことまで/うっかり携帯してきてしまったようだ/地図は置いてきたけれど
 平らかな流れにそって/しばらく歩いたら/縁石か草むらに腰をおろし/チェコレートを一片、またはタバコを一本。
 てきとうなところで/また橋をわたって/反対側を歩くのもいい
 川音にまぎれて/ひとつの名前を呼んでみる/遠く、距離をおかなければ/発音できない名前を」
どうだろうか、優れた詩はいつもそうであるように、目の前の属目を、事実として描写しているようで、どこか暗喩を指示しながら、読者を詩でなければありえない世界へ惹き込んで行く。ここにはそれがある。確かな技術という以上に、ことばのセンスがすばらしい。こういう順序でことばを並べなければ、味わえない感興がしっかりとある。詩を読むよろこびをそこに感じた。短歌ほど短いプロフィールで、1970年生まれであること、すでに2010年に第一詩集『断食の月』がある、ことを知る。『断食の月』というタイトルもいいですねえ。