昨日はとにかくちゃんと仕事をして(途中、頭がフリーズした場面があったが)、あわてて午後遅く外出したのではなかったか。
着地点は京橋フィルムセンター。ここで「ハワイ珍道中」を見るのだ。その前に、門前仲町で下車し、永代橋を渡る。その手前、おそらくここが草森さんが住んでいたマンションか、という場所をつきとめる。永代橋は、アーチ型の稀にみる美しい鉄骨の橋。小津「一人息子」で、息子が信州から出てきた老母を東京駅で出迎え、砂町あたりの家というか長屋に、タクシーで連れていく途中、永代橋を通る(『その先は永代橋』に記述あり)。その部分をチェックするため、久しぶりに「一人息子」を見たが、やっぱりいい。日守新一飯田蝶子
夕陽がまぶしい永代橋のたもとまで来て、そうか「旅」の取材で来たことがある、のを思い出した。隅田川の橋を片端からチェックするというルポで、あれは楽しかった。わくわくしながら浅草まで歩いたのだ。東京歩きのきっかけとなった。
せっかくだから永代橋を渡って、そのまま歩いて京橋へ。フィルムセンターは、じつは初めて。500円(いまは520円)で、珍しいものも含め、日本映画が見られるのに、どうして来なかったんだろう。一つは、自分の行動エリアのはずれにあること(遠く感じる)。もう一つは、システムを含め、ひどく官僚的だと聞いていたからだ。お勉強しに、という雰囲気で映画を見る感じかと。実際に行くと、たしかにそんな感じは否めないが、いちばんいいプリントで、ふだんかからないような作品も見られるわけだし、見た方がいいのでは、という結論に達した。なんていうと大げさだけどね。客はご老体が圧倒的に多く、しかも男性。さすがに待ち時間は、本を読む人が多い。子どもの堺正章(正明)もちゃんとチェック。危なかったのは、途中、寝てしまったこと。そこを見逃したら、何のために行ったかわからないではないか。
帰りは東京駅まで歩く。座って帰る。それでも万歩計は6000歩代。車中では岩波文庫に入った漱石『坑夫』を。ずいぶん前に読みかけて脱落したことがある。そうか、こういう始まりだったか。