3月28日、今日で57歳。あと3年で還暦だ。そのときは、ちょっと感慨があるだろうか。いまは、誕生日といっても、昨日の続きという感じだ。ただ、3と28という数字の並びには、やっぱり名前みたいに、特別な思いがある。さあ、今日はいい天気だ。
少し早く家を出て、昨日から始まっている西部古書会館の即売会へ。一時間ばかし見てまわって3冊。長谷川四郎訳『マラルメ先生のマザー・グース』は手にもつと、もう欲しくなる。ブックデザインは平野甲賀。すぐさま神保町へ。和洋会を覗く。ここでも3冊。古書通信に顔を出し、樽見さんと打ち合わせ。「古通」で連載とは別に、ちょっとおもしろいページを持つことに。乞うご期待。
靖国通りへ出ると、路上にワゴンが出ている。春の古本まつりが開かれているんだ。知らなかった。けっこうにぎわっている。「がらんどう」で元気いっぱいのがらんどうの娘さんに挨拶され、立ち話。駄菓子屋のデッドストックらしき、メンコや雑多なものが売られ、客が食いついている。せっかくだから、昭和30年「少女ブック」付録、お涙ちょうだいもの『母と湖』を500円で買わせてもらう。
「サン毎」で本えらび。3時からパレ・アリスで、筑摩の新婚、Kくんと待ち合わせ、打ち合わせ。今年、一冊ちくま文庫に入る予定の本について、相談。Kくんから、誕生日プレゼントと、浅草の和菓子2種をもらう。ありがとう。その本の文庫化増補分について、魚雷くんに頼み事。ちょうど同じビルのなかで仕事をしている。4階へ上がって、誘い出してまたお茶。魚雷くん、快く引き受けてくれる。「book5」最新号に掲載された「進学レーダー」のお噂をうかがう。進学雑誌なのだが、ナンダロウくんを中心に魚雷くんほか、ちょっと濃い、われわれの仲間といっていい書き手が大勢参加している。
帰り、阿佐ヶ谷下車。「コンコ堂」に入荷した『岡崎武志展』図録にサインと落款(林哲夫大兄製)を押す。アマノくん、図録の出来をほめてくれて「愛が入っていますね」と言ってくれる。もちろんユーセンくんを褒めているのだ。中央線の方、図録、「コンコ堂」でどうぞ。
万歩計みたら、9000歩歩いていた。あんまり代わり映えしない誕生日であることに、自分ながら驚く。
八木書店店頭のラックからもらった『吉本隆明全集』パンフを穴が開くほど見つめる。全38巻プラス別巻。生活史年譜は石関善治郎さん。もとマガジンハウス編集者で、ぼくを拾ってくれて、上京のきっかけになった人物の一人。「自由時間」でたいそうお世話になった。いろんな人がことばを寄せているが、よしもとばななの文章がとてもいい。本当にいい。ちょっと涙が出そうになった。ぼくは、吉本さんの生前の実物を神保町で目撃している。図書新聞あたりの路地から自転車に乗って出て来て、走り去っていった。海で溺れる前だろう。全集パンフ、もらっておいた方がいいですよ、みなさん。
場所によるが、この二日で、桜がかなり開いていた。春を越え、26年目の東京だ。