20日、冷たい雨。昨日、北海道新聞書評、山崎豊子『約束の海』書いて送付。潜水艦「なだしお」衝突、遊魚船沈没事件を下敷きに、山崎最後の長編となった(未完)。読ませるチカラはさすがで、読みやすいので助かる。ただ、情報を盛り込むのにこちらは苦労した。
今日は午前中に、積み残した「イチオシ」、中原清一郎『カノン』を書いて送付。著者の本名は外岡秀俊。「北帰行」で文藝賞を取り話題になったのが、もう37年前か。河出文庫にも収録。その後、朝日の記者となり、署名原稿を見るたび「北帰行」と、頭に浮かんでいた。『カノン』は困難なテーマに手をつけた力作。映画化必至。森田芳光が生きていれば、やりたがったのではないか。
午後「サン毎」本選び、中央線で荻窪下車。開高健のことを調べるため、杉並中央図書館を目指す。雨に濡れた西郊ロッヂと小学生たちの群れ。なぜ男の子たちはまっすぐ歩かないか。ところが着いてみると休館日。木曜に休む図書館がある、というのは衝撃であった。すごすごと「ささま」へ寄って一冊、西荻音羽館」で売った本の清算金をもらい、ここでも何冊か。状態の悪い尾崎一雄末っ子物語中央公論社が均一に出ていて、小穴隆一の装幀にしびれる。本体にも、ネコの絵が、これどういう技法と言えばいいか、彫り込んである。これがしゃれている。手でなぞってみる。
いくつか、うれしいメール。春は静かに通り過ぎて行く。

英語版ですが、ぼくがハマっている「JQ」を貼付けておきます。