木下恵介「女」(昭和23)、まったくどういう映画か、知らぬままDVDで見始める。女は踊子の水戸光子。男はやさぐれた小沢栄太郎。ほとんどこの二人だけで物語は進む。強盗し、金を持って逃走中の小沢(足をひきずっている)が、女を無理やりひっぱって東海道線で西へ、西へ。悪事を知り、これまでもさんざん男のためにイヤな目にあってきた女。別れると言いながら、女がついてくる打算を持つ男。最後、熱海で女は男から逃れようとする。そのシーン。木下は火事騒動が起きた温泉街を、まさに木下が火を放ったとしか思えない臨場感で、荒れ狂う町を撮る。消防車出動、逃げ惑う人、右往左往する大八車、狂乱の群衆、家々の二階から次々と家財道具が道に投げ捨てられる。すさまじいスペクタクル。いったい、どうやってこのシーンを撮ったのか。まさに圧巻。ここだけ見るために、「女」は見る価値がある。いやはや驚いた。
連日、読む、書く。「ちくま」ウェブ連載「マチャアキが走る」第一回を送付。いよいよ始まった。最後までうまくたどり着けるか。不安がいっぱい。「読売新聞」「本のソムリエ」は、山本周五郎「主計は忙しい」(『あとのない仮名』)。前回、辺見じゅん『収容所から来た遺書』の原稿が反響があり、帯文に使われたりした。
あれやこれやで、頭の中が風船のようにふくらんでいる。「JQ」を見るのが楽しくてしかたない。「3」も注文。
先週、「彩の国古本まつり」でボブ・ディラン、日本のフォークCDが、300円で大量に出ていて、目がちばしるが、「はっぴいえんど・ライブ」「鈴木茂/バンドワゴン」、「友部正人/にんじん」をかろうじてキープ。ほかにも所持分も含め、いいのがたくさんあった。
少し高かったが、クロード・ルルーシュ白い恋人たち」DVD入手。これを見ているときは、これが一番好きな映画かも知れないといつも思う。
吉田拓郎「春だったね」