日本の論点」の「古本」項目原稿ゲラ、ようやく返送。古ツアさんのこと、追加できてよかった。PDFで送られていたのに、目が滑って、落ちついて読めない。そこで、わざわざファクスしていただいたのだ。手数がかかるライターだよ。「ビッグイシュー」原稿は、村上春樹訳『ロング・グッドバイ』。何度も読んでいるので、全編読み返すことはなかったが、それでも要所、要所、確認も含め3分の2ぐらいを再読。再読はいつも楽しい。新しい本を読むより、時として、楽しい。
日本古書通信」通巻1011号が届く。ぼくの連載「昨日も今日も古本さんぽ」も36回になる。もう3年か。いろいろ読むべきところ多い号で、あちこちラインを引く。勉強になる。西荻・盛林堂の小野くんが書いた、盛林堂の歴史もおもしろい。そうか、創業は吉祥寺か。いまの西荻店に出入りした中央線作家の顔ぶれがすごい。作家に愛された店、という点では、小野くんがいまその気風を引き継いでいる。「座談会・神田青空古本まつり」も興味深く読んだ。全集やでかい本が、飛ぶように売れた時代があった。ふむふむ。ぼくが注目したのは、本に直接貼られる値札の問題。店主側と客側の意識がこれほど違うのか。客側からすると、あれを剥がすとき、ほとんど本が痛んだり、痕跡が残るのが不満なのだが、「昔はあの値札が保証書」「付いていないと具合が悪いという部分もあった」というのだ。
このなかでは若い「藝林荘」宮本さんが「値札を貼らずに、半券切って挟むだけにしています」と言う。ぼくはこれでいいと思うが、たとえば古本市など、多くの人の手で触れられる場合、値札が取れると困るのだろう。それはわかる。糊のつけ方も、確実にべちゃあと塗って、剥がすと大きな痕跡が残る場合もあり、これは困る。私が各所で古本を売る場合は、「藝林荘」スタイル。
「21世紀古書店の肖像」は日本最東端、根室の「道草書房」。たしか、放浪書房くんが訪れているはず。店の3分の2が古書店で、残りが美容室、ということにいたった事情もおもしろい。行ってみたい。