昨夜、ようやく「読売」の「ビタミン・ブック」の原稿を送る。ディック・フランシス『大穴』について書く。ひさしぶりに再読。6回目ぐらい?
朝、さっきだが、BSで思いがけず、山田太一「今朝の秋」再放送にでくわす。じっくり見る。深くうたれる。小津へのオマージュが散見でき、なにより笠智衆が流行歌「恋の季節」を歌うというおまけつき。その笠も、26年を経て、杉浦直樹・春子も、名古屋も、加藤も逝ってしまった。携帯電話のない時代のドラマ。武満の音楽は、耳にそのまま残っていた。
お隣りさんが、朝から、子どもたちがにぎやかに笑っている。その笑いが、長くつづき、どんないいことがあったんだろうと思う「今朝の秋」。

【ストーリー】
蓼科の山荘にこもる老人は、ある日東京に住む一人息子の死が近いことを知らされる。彼は山を降り病院へかけつけるが、死と対峙する息子を前に老いたる父として何を言えようか。また老人はそこで図らずも、別れた妻と再会する。二十年前男と去った許せぬ妻ではあるが、彼女もまた、わが子のせめて最後の時に尽そうと来たのだった―。

【出演】
笠智衆倍賞美津子樹木希林杉浦直樹名古屋章五大路子、加藤 嘉、杉村春子 ほか

原作: 山田太一
音楽: 武満 徹
演出: 深町幸男

○1987年 製作