あいもかわらぬ金曜だ。「書窓展」で4冊。井伏鱒二太宰治』は持ってる気がするが、400円と気味が悪いほど安いので買ってしまう。すぐ読もう。タテキンで橋口幸子『珈琲とエクレアと詩人』。これはこのあと、喫茶店でさらりと再読。うむ、いい本だ。こういう小さくて優しい本が心を慰める。
「サンデー」で本選び。そのあと、本当に久々に「ギンレイ」で、クマのぬいぐるみが生命を持ち、下品な不良中年になる「テッド」を見る。当今のアメリカ風俗のギャグ満載で、字幕訳はかなり工夫しているが、あんまりウケない。これは本場でないと。小林信彦ふうに言うと、「ここで、はやゲラゲラなのだが」というところ。しかし、映画自体がつまらなかったわけではない。「舟を編む」が「ギンレイ」にこの先、かかるみたい。
酷暑が戻った炎天下、池袋へ移動。履いてたサンダルが一部壊れ、「無印」で一足調達。いつも行くルートとは違う道順のため、このあと「ポポタム」へたどりつけず、ぐるぐる迷う。慣れないサンダルのため、途中、足がつって「いってててて」と片足上げて、塀にしがみついていたら、自転車で通りがかった若い娘に「この、不審者!」と言った目でガンづけされる。
この日「ポポタム」で、写真家・藤井豊くんを挟んで、写真集を作った扉野くん、二人をつなげた魚雷くんと三人でトークショー。盛会だった。藤井くんの素朴な真摯さが印象に残る。3・11以後、被災地を訪れ、次々と歩きでシャッターを切る。何度も被災者に車に乗せてもらい、泊めてもらったりする。被災者に救われるのだ。これは藤井くんの人柄だろう。乗せてもらった自動車のカーラジオを撮ったカットへのこだわりなど、純文学である。
藤井くんとは先日、高円寺で魚雷くんの紹介で飲み、その場に大宅賞作家のワタナベくんもいた。すべてが魚雷くんが知り合うことでできた人の輪だ。だんだん、魚雷くんが高円寺の井伏鱒二みたいになってきた。もっと太って、丸まるとしてほしい。
トーク修了後、いつもの中華「蘭蘭」(「ポポタム」の大林さんは今週すでに4度目とか)で、総勢25名くらいの打ち上げ。北條くんから、純文学作家の木村『月食の日』紅美(くみ)さんを紹介される。木村さん、「ビッグイシュー」のぼくの連載、読んでくれていて、褒めて下さる。それだけで、来た甲斐があった。
帰り、酔っぱらって自転車濃いで、木にぶつかる。指の皮がべろりと剥け、血がしたたる。「いてててー」って、ばかである。