京都から帰郷して今日まで、中公文庫創刊40周年を記念して刊行される小冊子の原稿と格闘していた。中公文庫から出た日本人論のロングセラーを紹介しつつ論じるという骨のある原稿。自分の任ではないとも思ったが、過去に同社から「日本人論」を概観する原稿を依頼され、書いたこともあり、今回も、ということになった。書いては消し、書き加えては逡巡し、汗をかきかき、なんとか着地。悪い頭を使い切った感じだ。なぜ、こんなに頭が悪いんだろう。ふらふらだ。
その合間に、下鴨で買った『座談会 昭和文学史6』を拾い読む。大江健三郎のユーモア。古井由吉の発言がおもしろい。島田雅彦が冴えている。そうか小森陽一も肉体労働体験があるのか。そこから高橋源ちゃん、中上健次の肉体労働体験の話につながっていく。ぼくは、中上健次がまったくわからない。もうあきらめている。こうしたかたちの『昭和映画史』を読みたい。