日曜は、午後田端へ。文士記念館で、荒川洋治さんの講演を聞く。すばらしい話だった。ユーモアあり、作品への深い理解あり、アジテーションあり。100名収容のところ、260名の応募があったとか。この日、当選した聴衆は、みな満足したに違いない。
ぼくは最前列へ。隣りの高齢の男性から話しかけられる。聞くと、「スタンバイ!」のヘビーリスナーで、荒川さんはもちろん、ぼくの放送も聞いてくれていたという。感謝する。
終わって、有志で、学芸員の女性による田端文学さんぽを。芥川龍之介旧居跡などを訪ねる。学芸員の女性、まだ若いがとても優秀で、くどくどした感じではなく、さりげなく各所のエピソードを伝えて、われわれの理解を深める。そのあと、そのまた有志で、染井霊園へ。芥川の墓を詣でる。風が涼しく、空気が澄み、鳥が鳴く霊園はとても静かで、くせになりそうだ。
事前に読んでいた森まゆみさん『東京ひがし案内』に、田端駅前にかつて「断崖絶壁喫茶店『アンリィ』があった」の記述にはげしく反応。検索すると、ぶつかったのがナンダロウくんの古い日記。そこに、「アンリィ」を実家に育ったのが、一箱青秋部の中村さんだと知る。なんという奇遇。それで、一度、中村さんに連絡を取らなきゃと思っていたら、この日、荒川さんの講演会に来ていた。「うわあ」と驚いて、ことの次第を伝えて、少し「アンリィ」の話を聞く。いまは「笑笑」などが入った駅前一等地のビルが、かつての「アンリィ」跡地で、昔はお酒を出していたが、のち喫茶店となる。二階にあった。一階は焼肉店だったらしい。
原稿、ゲラ、各種連絡、書評用の本の精読に午後過ぎまで費やし、煮詰まって、西荻へ逃げ出す。「音羽館」の内と外で買い、広瀬くんと「赤レンガ」で雑談。買取りでのおもしろい話を聞く。このあと盛林堂へ寄るも休み。音羽館でもらった西荻マップ片手に、西高井戸児童遊園わきの「登録文化財の洋館」を目指す。途中、残骸となった「スコブル」の手前で、角田さんとばったり。おやおや。そうか、通っているボクシングジムがこの近くなのね。じゃあね、と別れて洋館へ。映画のセットに使われそうな木造二階建てなり。立派な家だなあ。
ついでに「音羽館」先を左折した「ロータリー」へ行こうと、歩いていくと、今度は「旅猫雑貨店」金子と遭遇。おやいや、お茶でも飲む?とドトールへ。金子も田端「アンリィ」には子ども時代の思い入れがあるらしく、しばらくその話。旅猫が参加した蚤の市「京王閣」、二日でなんと1万4000人の客が来たとのこと。入場料300円だから、きゃあ! 旅猫もよく売れた由。西荻の西に益子から移転してきた紅茶と郷土玩具の店「イトチ」へ行く、という金子と別れる。きのうもそうだったが、歩けば知っている人に会う。東京はなんだか、知り合いだらけだなあ。
善行堂ブログで知ったが、兵庫県三田市(みたし、ではなく、さんだし)に牛小屋を改造した本、雑貨、喫茶の、とてもステキな店ができたようだ。行きたい。
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