四月になれば彼女は

okatake2013-04-05

「ささま」で買った、阿部達二『歳時記くずし』文藝春秋がおもしろい。オール讀物連載。著者はもと文藝春秋の編集者。しかし、博識だねえ。文学、歴史、雑事、それに古典芸能、川柳までフォロー。それらを数珠つなぎにして、月ごとの話題を叙述していく。その出し入れの巧さと手際のよさ。帯に「これぞ、日本の新しい教養!」とあるが、本当だ。
ユリイカケストナー特集を読んでいて、『エミールと三人のふたご』に、灯台が出てくると知り、あわてて、夜、近くの「ブ」へ。あっさり見つかった。バルト海岸の避暑地に、エミールが出かけて行く。最後の最後に、岬の灯台を使った映画上映会があり、そこでかかるのが「エミールと探偵たち」というのだから、人を喰った設定だ。
阪神VS広島、延長延長でもつれにもつれて、最後、どうなったのだろう。江草が出て来て、しかし、彼はいまや広島の投手だった。
坂崎重盛翁から新刊『粋人粋筆探訪』芸術新聞社をいただく。ハードカバーの弁当箱本。これはもう、坂崎さんの独壇場というテーマであります。書影、図版多数。あ、ぼくの名前もチラと出てきます。

今日「ささま」の均一にへばりついていたら、隣りの年輩の男性から「なにか、いいものありました」と聞かれる。ちょうど手に取っていた、中村「木枯し紋次郎」敦夫の、おそらく初めてのエッセイ集を、「これは珍しいですよ。中村敦夫だから、紋次郎時代のことを書いているかと思ったら、社会的な発言が含まれていて、のちに政界へ進出する」なんて、ことを喋っていたら、まったく聞いてないのさ、この古本の先輩。そして「これ、三島の初版本ですよ。それが100円」とか言う。ああ、そういうことね。で、離れて別の棚を見ていると、また棚から抜き出し、「これは芥川賞作家○○の初版本、もう持ってるから買いませんけどね」と話しかけてくる。ひょっとして、ぼくのことを認知して喋りかけたのかと思って、ちょっとサービスしたんだが、別の人にも同じように喋りかけていた。なあんだ。しかし、先輩、なんて、つまらない古本の買い方をされるんですか。それは、つまらんですよ、と心のなかで思う。