えー、朝です。本日、雑司ヶ谷みちくさ市」へ参ります。いいお天気みたいで、よかった。「古本おみくじ」最新版も作りました。ちくま文庫『落穂拾い』が2冊あったので、1冊、本日半額で出品します。これは早いもの勝ち。
今回、あくまで伴健人さんの軒先借りての出店なので、本は送らず、トートバッグ一袋とバックパックに半分くらい詰めての本の量だったが、やはり少なかった。目白の「ブ」で少し仕入れ、それでも文庫籠とトラベルケースは埋まらず、「みちくさ」関連で、雑貨と一緒に本を売る店から(文庫3冊100円)で仕入れて、急場をしのいだ。
伴健人さんが「地産」販売ですね、と言っていたが、これは理想だ。ほんとうに、あの寅さんみたいに、日用品だけケースに詰め、手ぶらで全国の一箱古本市を訪ね、現地で仕入れて、売る。今回もけっきょく半分以上は残って、宅急便で家に送ることになったが、これはそもそも移動の熱エネルギーの無駄だよ。まあ、仕方ない。
この日も、たくさんの見知った顔のお客さんとコトバを交し、楽しく一日を過ごした。それでいいじゃないか。
ただ、顔のみ知るお客さんというのも大勢いて、30人は下らないだろうと思うが、「どうも」と言われて、「ああ、おひさしぶりです」なんて、調子を合わせていたら、「港の人」の里舘さんだったりする。こいつは失礼しました。女性に比べ、男性の顔はいい加減に見ているという点も正直ある。
古本おみくじも、「大吉」「小吉」「吉」にまぜて、「(ピース)又吉」というのも作った。「又吉」って、どういうご利益があるかわからないが。でも、喜んでくださったみたい。トークのために参上していた内沼晋太郎さんが、この「又吉」を引いて喜んでいた。トークの枕で、触れてくれた由。
おみくじを最初に引いた年輩の女性が、「おすすめの本」として挙げておいた杉浦日向子を見ておどろき、「きのう、ひさしぶりに読みたくなって、読んだところ」とおっしゃっていた。そういう偶然が楽しい。
「みちくさ」終えて、伴さんと「往来座」(伴さんは売残りをすべて、ここで買い取ってもらう。これは賢いやり方)経由で「ポポタム」まで歩き、ハルミンさんの作品展示を見る。絵ばかりと思っていたら、立体の展示が多く、なかでもばかでかい、あれはフェルト製か、犬かクマか(なにしろ大きすぎてわからない)の頭みたいのに驚く。タイルで作ったロボットみたいなのは、貯金箱になっていて、これはハルミンさんちの玄関に置かれているそうだ。宅急便でお金が足りないときなどは、ここから拝借するんです、なんて言っていたが、じつに楽しい。こういう明るいユーモアが、ハルミンさんの特色。人気があるのもあたり前。
「ポポタム」は盛況だった。店の対面が更地になっていたが、何が建つんだろう。住宅だろうが、下を店舗にして、飲食の店とかできればいいが、住宅街では難しいか。
ついでだから、「貝の小鳥」(こちらは初めて)で、佐藤純子展も見る。大きな絵も小さな絵も、シンプルな線で、空間の遣い方がうまいなあ。カラーインクだろうか、鮮やかな発色の色彩もきれい。はなやぎ、ほころぶスタイルである。
最後、目白駅前で、前にも一度入った地下の純喫茶「伴茶夢(ばんちゃむ)」に、伴さんを誘う。「伴」つながりという洒落だ。ここはコーヒーもおいしく、伴さんから職場の話をあれこれ聞く。ぼくには職場なんてないから、違う世界の話は興味がある。打ち上げへ行く伴さんとはその後別れ、帰宅。「北方人」さんみたいな、大先輩ががんばっていらっしゃるし、スタッフの「わめぞ」連の悲壮なまでの頑張りを見ていると愚痴は吐けないが、やっぱり疲れた。
読了した新刊を惜しげもなく放出していた「伴健人」さんから、丸谷才一『無地のネクタイ』を買って、これを帰りの電車で読む。中央線は立ちっぱなし。