まだ今日になるか、未明に小林信也『江戸の都市プランナー』書評を送付。つづけて寝床で、羆と闘う森林保護官を描いた吉村龍一『光る牙』(講談社)読了。新人とは思えぬ緻密な筆力。そして迫力。期待大の書き手あらわる。
朝食おえて、「世界ふれあい街歩き」再放送を見る。いちじ、取り憑かれたように見ていた番組。今朝はヴェトナム、ホーチミン市。バイクの大群がいなごのように町を行き交う。信号はないのか。バイクは月収の30倍、「一生乗る」と言う。寺院では、鳥を売る商売があり、それを参拝者が買い、その場で空に放す。床屋もバイク修理屋も路上で営業。郵便局で手紙を英文に翻訳するボランティアの老人は川端康成みたい。何十本と重なった電線、重く垂れ下がる。
用があって芥川の短編いくつかを読む。角川文庫版『羅生門ほか』が、短編のチョイスがユニークで、注、作品解説、作家紹介、年譜と念のいった作り。「MENSURA ZOILI」は、洋上のサルーンでの日本人二人の会話。ひとりは芥川。もうひとりの言うことには、ゾイリアという国(架空)には「価値測定器」があり、文学作品の価値を体重測定器みたいに、針で示す。芥川の「煙管」も判定されていて「常識以外になにものもない」。最後にこれは夢だとわかる、のんきな作品で、こういうのんきさが武器になれば長生きできたのに。

ちくま文庫のカバー案、PDFで見る。とってもいい感じ。自分の子ども、という感じですねえ。かわいい。本が出るのはやっぱりうれしい。