平成の爆笑王は歌之介

半日遅れで、「ビッグイシュー」コラム、デイヴィッド・ベニオフ『卵をめぐる祖父の戦争』について、ようやく書く。掲載は、今度売られる号の次の号になるだろう。みなさん、寒空の下で「ビッグイシュー」を売る人たちを支援する意味でも、ぜひ、街角で「ビッグイシュー」をお買いください。そして、ぼくの書評コラムも読んでくださいね。『卵』を、ぼくはハヤカワ文庫の方で読んだが、ポケミスの方で読みたいですね。青春18を使って、北国行きの鈍行に、日本酒のワンカップとシューマイ弁当を持って乗り込み、雪を車窓に見ながらえんえんと読み続けるというのがオススメ。適当な終着駅で降りて、駅前の喫茶店で、また読み継ぐ。少し町を散歩して、その日のうちに帰ってくるというのがいい。事前に「古ツア」さんのブログを読んで、古本屋のあるなしのチェックをよろしく。
チケットショップで買ってあった「末広亭株主優待券の期限が明日までと気づき、「サンデー」の書評を送ってから、尻に帆をかけ新宿へ。昼の部のトリ、一朝から聞くが、座るところなく、補助椅子で待機。超満席に驚く。一朝は「転宅」。小朝の陰にかくれて気の毒だが、いや、巧い人ですよ。
夜の部への休憩(末広亭は入れ替えなし)で、すこし席が空き、桟敷に座る。夜も満杯。どうなっているんだろう。ぼくは寝不足でうつらうつら、中入りであきらめて帰宅したが、中入り前の歌之介の人気に驚く。あちこちから声が飛び、反応がまるで違う。歌之介が当惑して「帰ろうかしらん」と言ったぐらい。方言のおもしろさを枕に、「勘定板」(だっけ?)という尾籠な話で、大いにわかせる。若い女性が「く」の字になって痙攣していた。すごい。いま、爆笑王は歌之介ではないか。林家ぺーのギターはチューニングは狂っているし、ほとんどワンコードで弾いている。むちゃくちゃだ。
歌之介は、二つ目の「きん歌」時代に、上京した折りの深夜寄席で聞いて、変ななまりがあるものの、笑わせるツボを心得た達者な語り手として強く印象に残っていた。客の気をそらさず、チャーミングな高座は天性のものだろう。
紙切りの正楽も、拍手が大きく、決まりきったくすぐりにも、はとバスの団体客が受けていた。「世界地図」なんて客からの注文に困っていたが、たぶんその手でいくしかない、と思った通り「おねしょ」で切り抜けていた。得がたい寄席のパフォーマーだ。
月に一回は寄席へ行って、いろんな芸人を見たい。見るキャリアを積みたい。
すいません、忘れていました。柳亭左竜の「羽織のあそび」も、明るい高座で、印象に残りました。