多田謠子

昨日は高円寺均一祭へ。オヨヨくん、おひさしぶり。金沢の雪、今年はそうでもないという。意外。ぐるぐる回って5冊買う。いちばんの買い物は編集工房ノアから出た多田謠子追悼文集『私の敵が見えてきた』。ぼろぼろ泣きながら一気に読む。フランス文学者で哲学者の多田道太郎の娘。反権力人権派弁護士として三里塚始め、困難な闘いをする人たちを支援したが、肺炎により29歳という若さで死去。小さいときから利発で、ほかの子どもと違った。それゆえにいじめにも遭った。京大在学中に「竹本処分」闘争(川本三郎『マイ・バックページ』参照)にかかわる。京大卒業後、四年で司法試験に合格。弁護士事務所に所属し、これから、というときだった。自慢の娘を早くに亡くした多田道太郎のことを思うと、胸がいたむ。
多田謠子は1957年3月8日生まれ。ぼくより20日だけお姉さん。幼いころ、香里団地に住んでいた。来日したサルトルボーヴォワールが、多田の招きでこの団地を訪れたこともある。ぼくも、従弟が住んでいたため、よくこのマンモス団地へアソビに行った。そのとき、団地のどこかに、同い年の多田謠子がいたわけだ。
「ささま」でも数冊。函無しの『昔日の客』元本があって500円+税。山高登の口絵木版画が欲しくて買う。裸本だが、やっぱりいい。均一で買った尾崎宏次『戦後のある時期』早川書房は、高名な演劇評論家による戦後回想。あんまり見ない一冊なり。「みちくさ」で小山清『二人の友』審美社、これは手放した本の買い戻し。400円は安い。ただし元パラはなし。
均一祭では藤本義一の文庫『これが男』も買う。曾我廼家五郎八をモデルにした著者得意の藝人小説。
さいきん、受贈書をまったく紹介していないが、もうしわけないことです。
みすず書房より田中眞澄『本読みの獣道』をいただいています。「ふるほん行脚」の続篇的なパートに加え、児童書の再読ほかを収める。これはどこかで紹介しないと。