okatake2012-12-01

朝から、建設業者がやってきて、お宅の家の屋根の釘がどうたらこうたらで、無料で点検しますとかなんとか。妻が応対し、長引く。ぼくが出ていって二、三言話したら(「明日、屋根が吹き飛ぶと言われてもお金がないんだ」)、帰っていった。老女の一人暮らしが同じような状況下にあったら、それじゃあと仕事を頼んでしまうだろう。二万や三万で済むことではないだろう。
日刊ゲンダイ」に北尾トロえのきどいちろう『愛の山田うどん』書評を送付。「うどん」の「こしがあってシコシコ」という評価があるが、ぼくは、うどんにこしなどなくっていい派。関西の出汁に、ふわふわと絹のような舌触りのうどんが浮いていて、つるつるとすすりこむ、あの感じ。
講談社現代新書の田辺保『シモーヌ・ヴェイユ』はとてもよくできた入門書で、ぼくは、旧旧デザインの(ビニールカバーのかかっていた)版で愛読。シモーヌ・ヴェイユ理解はこの本を一歩も出ることはないが、先日、旧カバー(杉浦康平デザイン)のを見つけて買ったら、あれ? カバー裏にも赤一色で印刷されている(写真)。ヴェイユの肖像と略歴。これがなんともかっこいい。講談社現代新書には、全部ではないが、こうしてカバー裏にも印刷されたのがある。よくできた本でもあるし、ぜひ、この旧カバー(B面つき)『シモーヌ・ヴェイユ』を見つけてください。
昨日「音羽館」の広瀬くんと「赤レンガ」で雑談していたが、やっぱり丸谷の『エホバ』は「見ないですねえ」、ということだった。あるものはたくさんあるのだが、見ないものは見ない。まあ、あたりまえですが。そこに古本という再生工場のおもしろさがある。