okatake2012-05-27

信濃毎日」に阿部了・阿部直美『おべんとうの時間 2』木楽舎の書評を送付。かし
新潮とんぼの本2冊、『茶碗と茶室』と『ヴェネチア物語』をいただきました。茶道で使われる茶椀。それが薄暗い畳の上に置かれている。煤けたような歪みもある茶碗。西洋の美観からすれば、汚いと言っていい焼き物を、しかしたしかにウツクしいと思う。それは、美しいものだと教え込まれた学習成果なのか、自分のなかにある生の美意識なのかは判断つきかねるが。落語にも出てくる「井戸の茶碗」。これは「轆轤の中心に据えた土を、その回転で一気に挽き上げていく。遠心力で外へ外へと広がってゆく、その力を利用しながら井戸茶碗は挽き上げられてゆく」のだそうだ。
高峰秀子の演技論を収めた『忍ばずの女』は中公文庫から。「放浪記」で扮した芙美子像を、本物と似ている、似ていない論議で批判をされて、高峰は愛想を尽かしている。映画における造型を、ものまねのそっくりと勘違いしている映画評がまかりとおる。
昨日は高円寺「中央線展」に午後から顔を出す。長野ですっかり打ち解けて知り合いになった「かぴばら」さんにも挨拶。このところ気になる岩波文庫を数冊ほか、常田さんで買った牧逸馬『七つの海』昭和七年中央公論社、和田三造装幀の造型にしびれる。870ページもある「弁当箱」本(坂崎重盛)で、裸本で状態は悪いが、古本魂をキックする名品だ。これがなんと500円。うれしい重さだ。家に帰ってからも、青柳いづみこさんのドビュッシーを聞きながら、愛でる。
「七つの海」は清水宏により映画化(無声映画)されておりました。なんと、高峰秀子が5歳で出演。
http://www.ne.jp/asahi/gensou/kan/eigahyou32/nanatsunoumi.html
都丸では壁均一で数冊、なかで、柏木如亭『訳注聯珠詩格』400円。これは如亭が、自ら愛する漢詩を、「当時の話し言葉を使って」自在に訳した破格の詩集。これが楽しくておすすめ。原文と書き下し文に如亭訳と注を施す。当方、学がないので、この注がうれしい。井伏の「厄除け詩集」は、この如亭の昭和版か。
いま、「七つの海」について、あれこれ検索したら、小説は昭和六年に毎日新聞に連載。挿絵は林唯一。1958年に新東宝が「貞操の嵐」という凄いタイトルで再び映画にしている。古ツアさんは、この本を武蔵小金井「中央書房」で見つけ、欲しいが買えないと書いている。函入りなら軽く5000円以上ついていたでしょうね。http://blogs.dion.ne.jp/tokusan/archives/8173438.html