あ、宝島だ!

okatake2012-05-08

「雲遊天下」「BOOK5」などを続けて読んでいると、聞きたい人に話を聞く、書きたい人が書きたいことを書くということが、とても自然のように見えてくる。それが、あまりお金にならない、というところが、制作者、書き手の苦しいところだが、書いていることが低音でも、高らかに聞こえることはまちがいない。
武藤さんばっかりホメるのはなんだが、「雲遊天下」の「金かくしのない町」の無鉄砲な抒情にしびれる。「BOOKS」では、ユーセンくんの雑誌魂原点が「コロコロコミック」であることを知る。この両者に関わって執筆しているのが南陀楼綾繁さんで、裏通りの帝王と呼びたくなる。勲章ものですよ。
長野の「一箱古本市」で、ペーパーバック時代の「宝島」を二冊、面陳で並べておいたのだが、三人くらいのちびっ子が「あ、宝島だ!」と叫んだ。もちろん、これは、植草甚一の名を冠した「ワンダーランド」が「宝島」に名を変えて云々という意味で、叫んだわけではないだろう。ぜったいちがう。それでも「宝島だ!」と叫ぶコドモの声が耳に残った。ジム少年の末裔を見た。あと、いっしょに出店されていた地元のお年を召された女性二人が、かわるがわるぼくの箱を見に来てくれて、ほほう、これは「痕跡本」ですね。なんて言う。そうか、カネマツでのトークも聞いてくださっていたんだ。このお二人の箱は、「うちにあった古い本です」とおっしゃっていたが、まど展「あきつ」の棚みたいだった。
今日は、午後から白百合大で講義する(来週も)。その「古本話」の作戦をたてる。やはり「ミコのカロリーブック」が頼りか。カネマツ古本市で買った三種の絵はがき(団地堂)、東京タワー、東京オリンピック東海村原発の話もしたい。いや、これはきょうれつだわ。