あれ、もう17日か。「古通」の取材がまだ、なんだ。どこへ行こうか。候補はいくつかあるのだが。
昨日は午後から「なずな屋」で、毎日新聞社学芸部(先日、文化部と誤記)の手塚さんの取材を受ける。『ご家庭にあった本』について。その前、「音羽館」へ寄って同著にサイン、イラストを入れる。「どんぐり舎」で手塚さんの質問に答え、「戎」に流れて、打ち上げ(なぜか、このところ「戎」づいている。そして堀さんと必ず会う)。手塚さんの盛岡支社、大阪支社勤務時代の話を逆にこちらが聞く。盛岡の川沿いにあった毎日の古いビルが印象的だったが、対面のビルのワンフロアに移ってしまったそうだ。取り壊されるのならもったいない建築だった。
このところ、2、3時間で目が覚め、ぐずぐず寝床で本を読み、朝食を食べてまた寝るという不規則が続く。今朝は盛厚三『「挽歌」物語』釧路新書を、ガシガシとラインを引きながら、一挙に読む。おもしろかった。素人といっていい若い主婦が書いたガリ版同人誌連載の小説が、あれよあれよとベストセラーに。著者の原田康子はときの人となる。その背景を、当時の週刊誌、雑誌、新聞広告などをもとに、映画化騒動も含め叙述していく。非常に篤実な仕事で、しかも読み易い。「北方人」さんと、ぼくらは意識している著者が釧路出身で、映画のロケも少年時代に見ている。そんな郷土愛と、原田康子への優しい視線が全編を覆い、これは釧路へ行きたくなりますね。資料の使いかたという点でも、この「一箱古本市」でもおなじみの大先輩から学ぶところ多かった。ぼくの持っている『挽歌』が、初版(なんと一万部)が売れに売れて、あわてて出した函入り新装版であることもわかった。ぼくはこれを「あった、あった。」で取り上げている。
釧路新書、というローカルで目立たない刊行環境であるのが惜しい。ぼくも書評しそこねた。申しわけない。