志郎康さんから征夫さん

okatake2012-03-26

昨日、東京の東へ。向島「ふるほん日和」のプレイベントとして、放浪書房・とみーくんがトーク。その押し掛け助っ人して、喋ることになった。総武線「亀戸」で降りたが、二十年ぶりぐらいか。亀戸といえば、鈴木志郎康さんを思い出す。これから行く向島は辻征夫さんゆかりの土地。南口に2軒ある「ブ」のうち、1軒のみちょっと触って『三文役者あなあきい伝』講談社文庫の「二」の方を拾う。駅すぐ裏手の飲食と風俗のある路地に覚えがある。そのすぐ裏にまた、今度は広い道路(京葉)があるが、亀戸の印象はむしろこの路地。北口へ回ると、大通りが歩行者天国に。ぷらぷら歩いて古本屋「ミヤハシ」初登頂を果たす。すでに古ツアさんが報告している通りの店だった。何も買えなかったが、客が数人、店主と話しているのを聞くと、地元でしっかり機能しているようだった。買えれば、古通にと思ったが断念。
看板建築を生かした香取神社表参道商店街は、それぞれ店主の顔が見える店舗の建ち並ぶ元気な商店街で楽しい。香取神社手前で折り返し、普門院(伊藤左千夫の墓あり)、亀戸天神と巡る。亀戸天神は朱塗りのお太鼓橋二つが架かり、その向うスカイツリー。境内は紅白の梅が咲き誇り、参拝客でごった返す。ここから東武亀戸線「小村井駅」まで歩いて電車に。曳舟までは一駅だが、大きくカーブしながら、車窓のスカイツリーを目で追いかける。ほかの乗客は見慣れているため見向きもしない。
曳舟で降り、改札前のお惣菜やで、コロッケとポテトを買い込む。鳩の街通り商店街へ来るのは三度目か。そのたびにカフェ「こぐま」でコーヒーを飲む。今回も飲んだ。「ますく堂」さんが後でやってきてあれこれ話す。本を売る難しさを実感しているようだ。
週代わりで出店している「甘夏書房」へも顔を出す。白い内装に、うまく絵本や文芸書を並べている。選びに選んだ本なので、見ていて気持ちいい。値付けも買い易くうまい設定だ。非売品として「辻征夫」詩集が何冊か飾ってあったので、「わかっているなあ」と甘夏さんに言うと、このすぐ裏手に辻さんの弟さんが住んでおられると言う。
そこからすぐの公民館みたいな畳の場所で、プロジェクターを使って写真を見ながら放浪書房トークが始まる。ぼくは最初っから発泡酒を飲みながら。とみーくんは下戸らしい。とにかく放浪書房という存在と活動は常識を超えて、ファンタジーみたいなところがあり、しかしそれを着実に実行しているところ、あっぱれな若者だ。ぼくはときどきツッコミを入れる程度で、がんがん放浪書房の世界が軽快なとみーのトークで展開していく。美容室と兼業の日本最東端の古本屋や、大阪バカモーニングなど、ナニコレ珍百景みたいな世界もある。これ自体がすでに芸になっており、「放浪くん、これ、いくらでも行けるよ」とアドバイス
帰りはやっぱり遠かった。電車のなかで殿山泰司をひさしぶりに、これがクイクイ読ませるぜ。川地民夫のエピソードが好きなんや、おれは。

「空犬」さん情報で、荻窪南側に「あゆみブックス」ができた、と知る。ええと、岩森さんとこを入って、すぐ右へ曲がったところか。大戸屋があるあたりかしらん。裏路地といっていい場所で、意表をつく出店だ。こんど、行ってみよう。
http://www.ayumibooks.jp/2012/03/317.html