okatake2012-01-24

日本の文芸評論ベスト10に入るだろう名作、山崎正和『鴎外 闘う家長』をちょっと読み返していたが、奥付を見たら、ぼくは文庫化されてまもない1980年7月31日に、買ってすぐ読んでいる。大いに感心したのだった。単行本は1972年河出から。山崎正和まだ30代の仕事と知り、愕然とする。ううん、ものが違うなあ。あとがきに河出の編集者・藤田三男の名が「共同作業完成の安堵をわかちあいたい」として登場。約30年前、ぼくは、この名前をスルーしている。ところで、この新潮文庫もいまや品切中。見つけたら、ぜひ買っておいたほうがいいですよ。繰り返すが、蔵書縮小で、文芸評論を10冊だけしか残せないとしたら、これは入れます。
時事通信社から、坪内祐三『探訪記者 松崎天民』(筑摩書房)の書評依頼がきた。ありがたい。これで、じっくり読むことができる。
持ってそうな気もしたが、中公新書原田勝正『駅の社会史』を買う。漱石のことが、何度か出てくる。「三四郎」に鉄道自殺のシーンがあるが、これにはモデルと思われる事件があったという。三四郎は上京の際、下関から急行には乗っていない、という推理も楽しい。これ、いい本です。