昨日、午後外出。「音羽館」で本を買いとってもらったあと、「ラピュタ」で昭和36年ニュー東映石井輝男監督「霧と影」を見る。原作は水上勉。北陸の海で発見された小学校教師の死体。自殺(事故)として処理されたが、それを疑う、親友だった新聞記者(丹波哲郎)と、地元の若い記者(梅宮辰夫)のコンビが事件として究明する。あきらかに松本清張のタッチである。スピーディーで手堅い演出。おもしろく見た。丹波哲郎の声が大きいことと、梅宮辰夫が言われなければ気づかないほど、若く別人のようだ。今回の「現代文学栄華館」シリーズ、未見の映画が多いのに驚く。
夜はコクテイルで、北條くん、ピッポさんと暮れのライブの打ち合わせ。選んできた詩のコピーを切り貼りして、その場で、当日お客さんに配るアンソロジー小冊子の版面を作る。ちょっと飲み過ぎて、最寄り駅からの帰り道、急坂を自転車を押して上がるのが死ぬほどキツい。
「霧と影」を観ていて気づいたが、主人公のコンビを始め、男たちが、男と会うとき、挨拶がわりに相手にタバコを差し出して、火をつける。タバコが挨拶がわりの贈答ツールだったんだ。それは、男はほとんど喫煙者、という前提に立っている。昭和36年、たしかにタバコを吸わない男は珍しかった。