和田誠森遊机『光と嘘、真実と影 市川崑監督作品を語る』河出書房新社をおもしろく読む。市川崑作品を、何でもいいから、無性に見たくなる、楽しい本だった。ただ、タイトルが理屈っぽく、何がなんだかわからない。これでは読者の手に届かないだろう。ぼくの市川崑ベストスリーは何だろう。「おとうと」「股旅」「細雪」がとりあえず、浮かぶ。和田誠のこんな話が楽しい。「週刊サンケイ」の表紙を担当していた時代。銀座へ行くと、壁に顔をくっつけている女の子がいる。見ると、浅丘ルリ子。声をかけたら、人と待ち合わせていたという。有名人だから、顔を見せると人が寄ってくるから、壁に顔をくっつけていたのだ。可愛らしい。
中公文庫の「20世紀」シリーズは、近現代史に穴があるぼくにとって、格好のリーダブルな教科書。いま、目の前にあるのは「高度成長日本」だが、品切れ。砂川闘争の章で、警官隊と地元住民がだんごになって道を埋めつくす写真があるが、これが昭和30年の五日市街道。こんなに狭く、田舎っぽい道だったんだ。

明日はTBS。『計画と無計画のあいだ』を紹介する予定。
午後からNHK。ラジオ深夜便、四日分の録りがある。本日、放送原稿、約40枚を一挙に書く。「サンデー毎日」で、丸谷才一の新作『持ち重りのする薔薇の花』の書評を書くことが決定。この書評は、楽しみながら、じゅうぶんチカラを尽して書くつもり。
今月はこれから「みちくさ」「国立コショコショ市」、JPICの親子古本案内講座も二回予定されていて、イカが大漁でうまそうなので、イカを刺身と丸焼き、煮付けにして食べたい。この冬は長らく遠ざかっている青春18を使えるだろうか。身延線にもう一度、乗りたい。