話題のミシマ社代表三島邦弘が書いた『計画と無計画のあいだ』河出書房新社を読む。一軒家を社屋とし、ぜんぶ畳の部屋で、会議はちゃぶ台というのがおもしろい。「自由」を旨とする社が自由が丘にあり、合宿を三島でやったというのも冗談のようでありながら本気なのだ。真白な装幀も大胆。
三輪正道『残影の記』(編集工房ノア)をいただいています。酒と文学と旅をつづった創作集。著者は中野重治の研究者でもあり、巻頭『「きたぐに」まで』は、中野重治の足跡を訪ねて福井を旅する話。粟津謙太郎の装幀があか抜けててよい。
トランスビューからは雑誌「EDITORSHIP」第一号「時代を画した編集者」をいただく。発行は日本編集者学会で、会長は長谷川郁夫さん。懇談社で「群像」編集長などを務めた徳島高義「私の出会った作家たち」、それに「季刊文科」に連載された寺田博「文芸誌編集覚え書き」の一挙掲載など、読みどころが多い。帯に再掲載された角田光代さんのことば。「しばらくたって、あるとき突然寺田さんの言葉がわかった。私はその言葉にすがるように小説を書いた」。角田さんは「海燕」時代、寺田博に見いだされた作家の一人。