鶴見俊輔『象の消えた動物園 同時代批評』(編集工房ノア)で、ナンシー関について触れた一文。
「今の世の中『得しないと損である』が常識となっている。」/これは一行でこの時代の日本を要約し得ている。
1927年に出た松崎天民『銀座』のこんな一行。
「秋の夜の音ずれに、一脈の物足りなさがあっても、乏しきに諦め得て、足るを知る人々のさんざめきこそは、ビヤホールに見る現代生活人の刹那的歓楽なれ。」
先日、TBSで紹介した『最弱球団』には、負け続ける者の品位が感じられた。
「負けるが勝ち」と最後の最後に言い切れるだろうか。
うれしいなあ、つん堂さん、古ツアさんが同時に、ここ数日、大阪のしかも京橋、天満と、ぼくのなじみの古本町を訪問してくれている。京橋では中学のとき、かつあげを……それはもう書きました。天満の「中田書店」は閉店とつん堂さんが書いているが、つい数年前まで、ぼくが幼稚園、小学校のころから知っているそのままの姿で残っていた。ここが、ぼくのファーストコンタクトの古本屋。
久世光彦『歳月なんてものは』(幻戯書房)は、送られたとき、ちょっとドキッとしましたが、そうか単行本未収録のエッセイ集か。三島邦弘『計画と無計画のあいだ』(河出書房新社)は、なんだか聞いたようなタイトルだが、しかしいいタイトル。ミシマ社さんの三島さんが、いかにして一人出版社を起ちあげたか、ここまで来たかを語る。時事通信社の書評を頼まれています。平松洋子『野蛮な読書』(集英社)は、「サンデー毎日」に書評を書きます。川本三郎『銀幕の銀座』(中公新書)は、「銀座百店」に連載された、銀座映画ガイド。川本さんならではの、楽しみな本です。でも、見てない映画が多いなあ。
扉野くんからは「via wwalnuts」という小冊子を送ってもらった。一枚の紙を指示通り切って、折って、組み合わせると、洒落た小冊子になるのだ(写真)

。うーん、驚きました。「メリーゴーランド京都」主催で10月28日、文化サロン寺・徳正寺本堂にて、平出隆さんの講演が開かれる。その告知。
秋葉くんからは、砂糖菓子のように、触れればこぼれるような繊細な御手紙をいただいた。これも手製封筒だ。
第56回西荻ブックマークは、なんと、今年、西村賢太の一人勝ち、佐藤泰志復権、出版界のアイドル・夏葉社と並んで文学的事件だった、流水書房「小沢書店ブックフェア」を企画した書店員・秋葉くんが、長谷川郁夫さんを招いて、「小沢書店をめぐって」というトークショーをする。これはえらいことですよ。スタジオマーレだから、すぐ予約が埋まること必至。ほんとうは、神宮球場を借り切ってやってもおかしくない企画だ。当日、文学熱で、杉並区の電気使用量が賄えるほど、発熱するはず。これを聞き逃した人は、今後、ナニを口にしても空しいね。
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