昨日の谷崎賞受賞パーティ、いやにスーツ、ネクタイ姿が多かった。あたりまえだろう、と言われるかもしれないが、ほかの出版パーティでは、われわれライター族はいたってラフな格好で出席することが多い。今夜は知ってる人に会えないかなあ、と思っていると、もと「アートン」の編集者Sさんがいて、一度、取材させてもらっただけなのだが、何年かに一度、お目にかかったり、親しくなった。いっしょにいたデザイナーのOさん、初対面だと思ったら、名刺交換するとき、「『テル』でお目にかかってますよ」と言われる。「テル」なんて名前が久し振りに出て、一人、一挙に盛りあがる。そのあと、東京新聞のOさん、ちくまのAさん、某評論家と同姓同名の日本文芸社Mさんとしばらく歓談。
そうそう、コミガレに大量にポケミスが出ていて、田中小実昌のある一冊が欲しかったがそれはなかった。タテキンで裸本の萩原朔美『思い出のなかの寺山修司』。ちゃんと持ってるはずだが、とりあえず、線をガンガン引きながら読むのにいいと思って買う。九條今日子が、寺山の死後、母はつとの往き来が始まり(寺山の生前は険悪な仲だった)、寺山姓を継いだと知る。
吉野作造の評論集(『公人の常識』だったか?)は売れていた。古本に関する随筆が入ったいちばん面白そうなところなのに、失敗した。状態がよくなくて800円で躊躇したが、いま考えたら安いのだ。もし『公人の常識』だったら、某店で6000円以上ついている。
今日も「ライスカレー」を見る。ケンとアキラがラックルジュンへたどりつき、BJ(中井貴一)と出会う。コトバもできず、知らないカナダの田舎町で、途方に呉れた二人が、日本人らしき中井を見つけ、日本人であることを確かめ、抱きつくシーンがおもしろい。わかるなあ。いま、気付いたが、カナダへ行くはずだった銚子工業の友人ブンタを合わせると、高倉健小林旭菅原文太となる。
仕事が片付けば、午後は「ギンレイ」と思ったが、片付かないので仕事をします。
出せば必ず売れる、うらやましい井口悦男・生田誠の古絵葉書シリーズ『京都今昔歩く地図帖』と『鎌倉・横浜・湘南今昔歩く地図帖』(学研ビジュアル新書)をいただいています。しかし、これは場所の特定と、現在の場所との比較など、労作ですよ。
「本の散歩展」(10月21日22日、南部古書会館)目録が届いてみていたら、月の輪が服部嘉香旧蔵本を放出。そのなかに、関西大学学報「千里山学報)が二十冊近くあり、北村兼子の名前がいくつか出てくる。短歌を寄せているみたいで、一首とか数首。それだけで3000円を出す財力はないが、興味深い。文雅新泉堂が「ARE」全册と「SUMUS」四冊を出品。前者は「アレ」と表記されているが、正しくは「アー」。なんと全十冊に2万5000円がついている。後者は4冊6000円。ふーむ、と溜息が出る。