あれ、8月も終わりか。午後、東京タワーとなりのスタジオへ。見上げたら、やっぱり東京タワー、でかいなあ。ある芸能人の本を作るため、このところ動いてきたが、マネージャーにまでたどりつく。さっと話が通るかと思ったら、やや警戒している様子。そりゃ、そうだろう。活字の人を、芸能界は警戒するものな。趣旨とこちらの思いを説明すると、パッと顔が明るくなり、どんどん話が先へ進む。やっぱり、会うことが大事だ。人間だもの(いかん、相田みつをじゃないか!)これで本人がオーケーを出せばいよいよ動き出す。ぼくにとって、大きな仕事になる。物書きとして中仕切りとなるはず。付き添ってくれた編集者と別れたら、どっと疲れが出る。極度に緊張していたためか。
都営大江戸線で来たので、ついでに汐留ミュージアムで開催中の「濱田庄司スタイル展」(〜9月25日まで)を見に行く。これがよかった。「陶芸の人間国宝は、モダニストでした」とキャッチコピーがついているが、濱田の陶芸作品とともに、蒐集した李朝の壷や、着ていた服、ネクタイ、机なども展示。イームズの黒い椅子を購入するについてのエピソードもおもしろい。ぼくは楕円形の中皿に、カレーを入れて食べたくなったな(濱田もそうしていた)。館内、人もあんまり多くなく、ゆったり見ることができた。楽しい時間だった。益子へ行きたくなったっぺ(けんど、いま検索したら、えらく、益子は遠いっぺ。常総線から真岡鉄道か)。ミュージアムショップで、図録と濱田工房のレプリカの豆皿を買う。受付でチケットの半券とともに、二階の珈琲ショップの飲み物が200円割引になる券がもらえて、これを使って、ヒトの少ない珈琲ショップでブレンドを飲む。超高層ビルにはさまれて、その谷底にいる気分。次の展示も来よう。ここは穴場なり。おすすめです。
都営大江戸線で新宿で降りずに、東中野まで、ひさしぶりに東中野「ブ」へ寄る。入ってすぐ右の柱まわりにある、古書っぽい匂いのコーナーが楽しい。ぜんぶプレミアがついているかと思ったらそうでもない。欲しい本が見つかればお買い得だ。ここはおとなしく、見慣れたコーナーで、角川文庫の織田作之助『青春の逆説』と、中央公論社山田太一終りに見た街』を買う。後者、文庫はよく見るが、そうか元本は新書をひとまわり大きくしたサイズか。何かを感じて手に取ったら、カバーと挿し絵が長新太なり。買っておこう。帰りの電車で『青春の逆説』を読み始めたら、おもしろい、おもしろい。あっというまに物語がすすむ、練達の話術。戦前の大阪の姿も映し出されている。『青春の逆説』といえば、旺文社文庫のをよく見かけたが、角川文庫は知らなかった。昭和30年に出たものを改版して平成20年に出して、いまは品切れ。なぜ、平成20年になって、急に再版されたのか。ドラマにでもなったのか。
そういうことあるでしょう。「ブ」で、やたらに津島佑子の上下巻の長編『火の山』講談社文庫をよく見るのはなぜか。ちょっと調べたら、これ、NHKのドラマ「純情 きらり」の原作だったんですね。『女子の古本屋』もドラマ化されるといいんですが。

季節はずれですが、山崎まさよしあじさい」です。