昨日は高円寺「好書展」を経て、あいおい古本まつりへ。コウエンジ降りたら、なにやらすごいことに。そうか、今日、阿波踊りだ。即売会だけ覗いて、すぐ退散。いやはや、この狂躁的なにぎわい、どうも苦手です。「好書会」は思いがけずたくさん買えた。もう、買っちゃいけないと脳は告げているが、手が動くのだ。
「あった、あった。」ネタとして平沢雪村『鉄腕Ko!物語 プロボクシング入門』、「ぽえむ」チェーンの山内豊之『実録 新珈琲店経営』を。後者、いつか林哲夫さんが「あんまり見ない本」みたいに書いていて、そうかと思った本だ。他諸々。
「あいおい」では、野坂昭如『現代野郎入門』がカバーの状態が悪いが、それでもなぜか250円と安かった(「三楽」出品)。

古本会場では知った顔があちこちに。いつも「古」のつく場所で顔をあわせるSさん、この日記、たくさん書いた日のこと喜んでくださった。ありがたいことだ。
メーンイベント、ナンダロウくんの進行による向井「大将」のトーク。「理想の低い古本屋入門」。いっしょうけんめいメモを取って、勉強になった。ぼくを始め、読書ブログなどでいい古本とされる、まあたとえば野呂邦暢小沼丹後藤明生小島信夫佐藤泰志とか、いわゆる今の売れ線を、プロの古本屋は追いかけちゃだめなんだ、という話が印象に残った。いわゆる「いい本」は金を出せば集まる。まあ、簡単なことだ。それより「声なき客」を意識することが大事、と大将は言った。だから、いくつかの古本市や即売会で回して売れ残った本を、編集しなおして、いかに売れる本に変えるかがプロの技と言う。「よっ、向井屋」と声をかけたくなる鮮やかな主張だった。
あと、立石書店・岡島くんが、ワセダへ移ってきたことを、大将がどれほど心丈夫に思っているか、ということも強く感じた。いいコンビですよ。これからの古本屋は専門店化しないと、とよく言われてきたが、それは逆。古書現世は、むしろ十年前に専門性を捨てた。
相場は、値段や価値ではなく、「売り上げの速度」というのも、二十年、現場でもまれてきたプロの名言として聞いた。値段は売り上げの速度を変える基準でしかない、とも言った。向井「大将」は、ほんとうに頭がいいなあ。ときどき詰まって、「これが言語化できれば、ベストセラー作家になれる」みたいなことを言っていたが、いや、じゅうぶんですよ、現状で。
トークを堪能し、長野「光風舎」さんをゲストに、古本者8人ほどで、月島の居酒屋で飲む。店を出たらまだ9時で、中央線組の原くん、モンガさんとひさしぶりに「コクテイル」へ。阿波踊りは終わっていたが、途中、路上を各のみやが出店を出して占拠。たいへんなことになっていた。コクテイルも満杯だ。
陽水の「夏の終りの夕暮れに 消えそうな空に」というところを聞きたいために、この曲を。