本が床に散乱し、堆積し、その上を踏み歩き、函は壊れ、カバーは破れ、本は歪み、CDは割れ、蔵書はまったく機能せず、仕事に支障をきたしたまま、ここまで来て、ようやく少し手をつけ整理。本棚と本棚のあいだ、一通路をつぶし、どんどん奥から本を積みあげていく。これで数千冊死蔵となるが、仕方ないのだ。本を踏み、壊すよりいい。何分の一かでも生きていたほうがいい。やれやれ。
そういえば、先月、原田芳雄追悼で再放送されたドラマ「火の魚」はよかった。原作は室生犀星同名短編。同系統の「蜜のあはれ」とともに、放送時、いっとき収録れた講談社文芸文庫が話題になった。どちらも、栃折久美子もの、といっていいか。ドラマでは尾上真千子が好演。川本三郎さんも、「あのドラマ、よかったねえ」と感心してらした。ドラマの舞台となった呉市大崎小島に、川本さんは行ったことがあるという。もと、花街のあった島で、古い建物にその名残があり、また、一軒、映画館が残っていたそうだ。