okatake2011-07-28

朝、TBS。中央道、混んでた。とんぼの本宮澤賢治 雨ニモマケズという祈り』新潮社を紹介する。ぼくは、これを数日カバンの中に入れ、写真(小松健一)と文章を組み合わせたページを、パラパラ見ていた。大人の絵本、ですね。帰宅して、雑用をすませ、国立へ。ネギシアターで見るビデオをポストに投函。あと、何かを買うつもりだったが、それが憶い出せない。ちょうど南口「王将」のオープンの日で、開店前から行列を作っている。行列が途切れたところで、入店。「中華丼」と餃子を注文。厨房は戦場だ。目の前で手際良く餃子を包んでいる作業をしばらく見る。学生時代、よく、この餃子を包むところを見ながら、注文を待っていたなあ。中華丼は懐かしい味だ。これこれ。餃子を食べて店を出たら、急にタバコが吸いたくなった。昔は、王将を出たらすぐ、タバコを吸っていたんだな、それを身体が覚えていて、「なんとかしてくださいよ」と言っているのだ、と思う。
図書館で、『東京ジャズ地図』を借りてきて、昭和50年版「ジャズ批評 ジャズ日本列島」と、高野悦子二十歳の原点』を前に、一本原稿を書こうと思っている。高野悦子は「しあんくれーる」を「シアンクレール」と片仮名で書いている。いま、「しあんくれーる」のあった場所は駐車場に。その荒神口荒神橋の方へ向った右手にある、何てことのない、よく空いている、だからこそ、仲間とよく利用した喫茶「ぽっぽ」は健在だった。
ぼくが買ったアート・ペッパーのCD3枚、というのは、このときのライブですね。

木村衣有子さんから、新著『猫の本棚』(平凡社)をいただいてます。武田百合子、百ケン、谷崎、長田弘吉行理恵鴨居羊子町田康平出隆庄司薫小沼丹など、「猫文学」のブックガイド。「富士日記」について、「猫について書かれた文章にはもうお決まりといっていいほどのあらわれる描写がちっともここには見つからなくて」、「のびのびしていい気分なのが、ぴかぴかする目を持っているのが、百合子が思うところの、猫らしさだ」というところなどに、木村さんの良さが表れている。よく、作品と作者に寄り添って、借り物ではなく、自分の目で確かめた上での読みが示されて、楽しい。こういう自在さは、90年代以降の登場した、女性の書き手が提示したもので、なかなか男はこうはいかないんだよね、と思う。漱石吉本隆明の「猫」の扱い方は「二十世紀初めの、東京での猫の扱い方のスタンダード」だという指摘もおもしろい。「男」は、もう、吉本隆明というだけで構えてしまう。そういう窮屈な遠慮は、木村さんにはない。サンポの途中に立ち寄った店みたいに、素手の感触で対象をつかまえてしまう。とてもぼくらの及ばないところです。
en-taxi」最新号は「マイ・リトルプレス、思い出の小出版社そして雑誌」の特集。小沢書店について、坪内さんが、いま書店の「アキバ」といえば、流水書房青山店の秋葉直哉くん、に話を聞いている。巻頭は石原慎太郎×西村賢太対談。西村賢太芥川賞受賞後、印税やなんやかやで3000万円、入ってきたという。その前、通帳に20万しかなかった。慎太郎は「なんだ、それでも書いてるものの割には預金あったじゃないか」と突っ込んでいる。なごやかな会話、というべきか。