早起きして「あった、あった。」加太こうじ『小説黄金バット筑摩書房の原稿を送付。「小説黄金バット」とあるが、黄金バットの小説版ではなく、紙芝居黄金時代の貴重な回想。
昨晩、BSで新藤兼人「裸の島」をひさしぶりに見る。これは、「狼」と並ぶ、新藤の傑作。水道もガスも電気もない小さな島で、黙々と他の島から水を運び、農作物にかけつづける夫婦。かけてもかけても砂に沁み入り消える水。徒労とも思える苦役は一種の象徴性を帯びる。妻(乙羽信子)が貴重な水桶を、一つ、足をすべらせてこぼしてしまうシーンに思わず「わあっ」と声が出る。駆け寄る夫(殿山泰司)が、いきなり妻にビンタを張るシーンにも、また「わあっ」と叫んでしまった。
子どもが釣った鯛を町へ売りに行き、食堂でライスカレーかなにかを食べ、ロープウェイで山へ上る。前は気付かなかったが、あれ、尾道ですね。少ない登場人物、少ない場面設定は、演劇に向いているようだが、実際には無理だろう。徹底してセリフを排除することで、映画的表現を究極までつきつめる作り方がされているからだ。林光の音楽も忘れがたい。
昨日の朝日に、流水書房青山店アキバくんの「小沢書店フェア」の記事が載っていた。まだ、しばらく続くみたいだから、何とか、一度覗きたい。