昼間は夏みたい。夕方の風は少し冷たい。風が強い。神保町経由でサンデー毎日。塩山御大がブログで書いているが、タテキンの無料箱を覗いていたら、足下に眼鏡が。誰か熱中して、胸のポケットから落ちたのを気付かずに去ったな、と店員に届ける。なんだか、「わあ、眼鏡ですかあ」とちょっと困ったなあ、という対応であった。するとすぐ「眼鏡、落ちてませんでした」と駆込む男性あり。見ると塩山さんだ。神保町、どんだけ狭い世界ですか。
今日は「コミガレ」が充実。単行本も買おうと思ったら、たちまち三セットぐらい買えそうだったが、文庫新書100円から7冊。吉増剛造『詩をポケットに』NHKライブラリ、岸田劉生『劉生日記』岩波、庄野潤三『文学交友録』新潮、木村荘八『東京繁盛記』岩波、中野重治中野重治は語る』平凡社ライブラリ、福永武彦『夢百種雑百種』中央公論社(函入り)、総革の『ホトトギス新歳時記』三省堂(定価5000円)。これで700円だからねえ。
『夢百種雑百種』について、ある一文を書いて、ちくま文庫のどこかに入っているが、それを川本三郎さんに「あれ、いい話だねえ」と言われたこともあるのだが、じつは、ウソなのだ。この本を見ながら想像した話であります。

帰り「ギンレイ」で「白いリボン」を観る。こんな映画。
http://sorette.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-bd7f.html
途中で何人か、席を立って帰っていく客がいたが、客に不快を押しつける映画である。予定調和の逆。ラストもけっきょく、投げかけられた謎は解決しない。底意地の悪さ、落ち着かなさだけが残る。その居心地の悪さを、監督の力量であり、目ざすところだとする向きもあろう。しかし、ぼくはダメだなあ。体調が悪いせいもあったが、もっと楽しい映画を観たかった。ぺろん、と顔をぬぐって、この映画がいかにすごいかを、説を弄して語れる気もするが、そんなことをして何になる。しかし、忘れがたい映画であることはまちがいない。もう一本観るつもりでいたが、とても気分がつきあいきれず帰宅。
電車のなかで、藤岡靖洋『コルトレーン岩波新書を読む。岩波新書コルトレーンって! ジャズ本の各新書への侵蝕はすさまじいが、たぶん中公新書はまだ出していない、と思う。ジャズ本を出さないことが、中公新書アイデンティティであると、ぼくは思っている。がんばって、出すなよ。
ちくま学芸文庫の新刊、水上勉『一休・正三・白隠』は、いまのぼくにはジャストミートだが、これ、かつてちくま文庫に入っていた。で、学芸文庫から再刊だが、学芸文庫に入ると、なんだか学芸文庫っぽく見えるんだね、ちくまマジック。