一週間ほどかかりっきりだった、「新刊展望」佐藤泰志特集の、全著作ガイドをようやく今朝、脱稿。未読も含め、読み直しをし、なんとか字数に収めるのに四苦八苦する。うまく行ったかどうか、ちょっと自信がないが、とにかく書き終えほっとした。佐藤の作品には、圧倒的に「夏」が多いことに気付いた。ここから「佐藤泰志の夏」という文章が書けそうだが、今はその元気がまったくない。
昼まで胃が重く、ソファでぐったりしていたが、午後、少し恢復。西荻音羽館」まで出かける。電車のなかで、丸谷才一山崎正和『日本史を読む』を再読。しかし、この二人、何でも知ってるな。
広瀬くんと喫茶店で四方山話。音羽館で働いていたアマノくんが、いよいよ自分の店をオープンさせるべく、5月から準備に入る。これは楽しみ。国立「ブ」で、『遠藤周作のすべて』文春文庫を買う。遠藤の死後、「文學界」に掲載された安岡章太郎小島信夫、大久保房夫の鼎談がすこぶるおもしろい。昭和二十年代末から三十年にかけて、どの文芸雑誌からも第三の新人に原稿依頼があったが、それは「お手軽」だったから。「それでもしばしばその原稿は落第して、お蔵になってしまう。だからお互いに原稿読んで、これで大丈夫かね、と確認し合ったりしてましたね」と安岡。小島が吉行の家(といっても六畳一間)を訪ねていったとき、昼飯としてカバンからひしゃげたアンパンを出して食べたので吉行はオドロキ、鰻をごちそうした。よほど窮していると思ったのだ。小島が芥川賞を受賞したので、お祝いに家を訪ねたが、どうも見当たらない。石垣のある大きな家があって、まさかと思って階段を上ったら「小島」とあった。吉行はびっくりぎょうてんした、という話など、愉快なエピソードが続く。ちょっと「トキワ荘」の面々と、第三の新人が重なって見えるのですね。
工作舎より、四方田犬彦さんの新刊『書物の灰燼に抗して 比較文学論集』を送っていただきました。これまで、たくさん本を出している著者だが、まだ、単行本未収録の文章で、一つのテーマで、これだけの本が作れるというのが、なんともすごい。精興社の文字は、ひらかながちょっと変わったみたいだが、あいかわず端正で美しい。そのまま書道の手本になる。

十年ぶりぐらいに、四日ほど断酒していたのだが、今晩、少しだけ飲んじゃった。アン・サリーです。

白状するが、ぼくはけっこうスティーヴン・セガールの映画が好きで、よく観てる。ぼおっとビールなど飲みながら観るにはいい。セガールがかつて日本に滞在して日本通で日本語も達者と聞いていたが、阪神タイガースファンとは知らなかった。「タイガースの低迷期に大阪の朝日放送のインタビューで「今年もまた負けたらしいのう。わしゃ、もう情けないわ」と大阪弁で答えた」という(ウィキペディア)。そう言えば、石丸くんたちとベルギーへ行ったとき、ブリュージュの宿で、夜中一人、あれはフランス語版だったのか、もう覚えていないが、字幕なしで「沈黙の断崖」を見た。それでもわかるんですね。セガールの映画は。