昨日夜、また吐いた。いちにちの半分くらい、ベッドでごろちゃら。お金がなく、手足が冷えて、すぐ眠くなる。仮死状態である。
「若者たち」は初めて観た。ほとばしる時代性、白熱する人間関係が、ちょっと暑苦しいが、真摯さは伝わってくる。ライトの当て方に工夫があって、人間の表情をきれいにみせる。とくに山本圭佐藤オリエが強く印象に残った。佐藤オリエは役名そのままで、というより、これが本名だった。父親は著名な彫刻家・佐藤忠良だもんね。江守徹の父(大滝秀治)の葬式の夜、山本と江守が床に座り込んで、黙ってバナナを食べるシーンは、感じがありました。「ピカ」「原爆病」、石立鉄男の足が悪いことなどを、音声カットせず、そのまま流したのがよかった。80年代ぐらいまでか、もう少し後までか、この手のコトバ狩りの規制が厳しく、危ないのは全部カットという時代があったのだ。
佐藤泰志全単行本、ようやく読み終える。等身大の青年の恋愛、破綻した結婚生活の話が多く、佐藤の限界も示しているが、優れた作家性を持つ書き手であることを再確認。
届いた「エン・タクシー」が「大特集・東日本大震災」号。ぼくも、魚雷くんも、ナンダロウくんもアンケートに寄稿。三人とも本のこと、古本屋のことしか書いていない。まったくなあ。内堀弘さんがラストページですばらしい田村治芳追悼を書いておられる。「取り残されたような場所で、そんなところにいても儲からないよといわれても、オレはここが好きなんだと笑っている。ポーズではない。本当に好きなことしかできない、そのどうしようもなさだった」という書きっぷりが内堀節。しかし、ほんと、そうだなあ、田村さん。
布施明バカラックを歌ったアルバムがむかしあって、この曲は日本語でシングルカットされたんです。なかなかいいですよ。
雨に濡れても この心は燃え続ける この先長い長い道を〜なんて歌詞だったと思います。

夕方、胃腸科の医者へ。できたばかりの建物の一角、待合室には洒落た椅子が並び、映画に出てきそうな雰囲気。空いてる。すぐ呼ばれて、丸い眼鏡をかけた、中年の男性の医者に症状を説明。ずっとパソコンの方を向いて、何か打ち込んでいる。ちょっと口を開けて、のどを見て「あ、少し赤いですね。風邪から来る胃腸の炎症でしょう。お薬出します」とあっというまに終わる。触診もなし。もったいないようないい天気の日だった。洲之内徹を読みたくなって、『絵のなかの散歩』を引っ張り出し、最初の「赤まんま忌」を読んで泣く。