まだまだ続く「海炭市叙景」イベント

「ある愛好家秘蔵の地下本、約400冊一挙大放出」を特集した「股旅堂古書目録 4」が届く。エロ・グロから犯罪、反権力まで、裏街道まっしぐらの目録です。見てると頭と眼がチカチカしてきた。しかし、よくこれだけ集めたなあ。
野地秩嘉『食の達人たち』小学館文庫、川本三郎マイ・バック・ページ平凡社、久世朋子『テコちゃんの時間』平凡社などをいただきました。久世朋子は久世光彦夫人。「ムー」では由利徹の娘役で出ていました。長谷川和彦青春の殺人者』でデビューとあるが、あれえ、どこに出てたんだろう。ぼくが「京一会館」で見たベスト3に入る映画だ。
一昨日、「彷書月刊」の会の流れで入った神保町「さくら水産」に、新潮文庫マイブックに和田誠週刊文春表紙を貼付けた特製手帖を忘れた。で、電話して、あったんだけど、その説明がやっかい。ほら、たいてい外国の方でしょう、店員さん。「あのう、忘れ物なんだけど、文庫の、あ、文庫ってわからないか、小さい本で、手帖みたいになっていて、絵のついた紙を貼付けていて、うーん、これでもわからんか」と苦心する。
古通」連載第三回、大井町、戸越編を書く。「あった、あった。」は『にっぽんコミューン』朝日新聞社
午後、教育誌コラム連載、400字3枚を30分で書く。いくらなんでも、これは早すぎるか。頭で原稿ができていたので、それをなぞるだけだから、早く書けた。
夕方外出。「東京堂書店」で、まだ続く『海炭市叙景トークイベントに、聴衆として参加。この日、マニラ映画祭に同作品がグランプリと俳優賞を受賞した朗報が入る。おなじみ越川さんと、脚本の宇治田さん、それに川本さんによるトーク。最初の40分を川本さんが講演する。さすがに年季の入った、得るところ多いお話だった。大江健三郎中上健次立松和平など、若いころは上京した若者が東京で屈折して送る青春を描くが、のちに故郷を舞台にした小説を書き、それで大人になる、本格的な成熟を遂げる。佐藤泰志もそうだった、というところなぞ、うんうんと頷きながら聴いた。川本さんが現代作家で一番買っているのは丸山健二。新人では桜木紫乃が圧倒的にすばらしい、とのこと「毎日」掲載の川本さんによる、書評はこんなふう。mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2010/02/20100214ddm015070016000c.html
海炭市叙景』が未完で、本当は春夏秋冬で36話で完成予定が半分で終わった。もし、完成していたら、それぞれの話がうまくつながって「円環」したかも、という指摘にも納得。二部は越川さん、脚本の宇治田さんが加わっての鼎談。最後に客席からの質問のとき、函館出身で現在東京在住の女性が、函館は寂しい風景が美しいと思えることがあるとおっしゃり、川本さんが「いい話ですねえ」と感心しておられた。また別の男性が、「海炭市」は低予算で作られたというが、民放キー局とタイアップできなかったのか、との質問。越川さんが「まったくなかったです」ときっぱり言われ、ぼくは小さな映画が好きで、何億と予算を使っても作れない世界が映画にはあるんだ、と信じて映画を作ってる、と言ったのが感動的だった。
トークが終わって、関係者で打ち上げ。久世朋子さんもいらしてた。今日、『テコちゃんの時間』の礼状を送ったばかりなので、驚いた。