光文社新書メルマガ連載 第二回

okatake2010-11-29

ぼくがこないだ仕入れとして買った、栃折久美子『モロッコ革の本』集英社文庫は、いまではあんまり見ない本だが、名著ですよ。ここに岩波新書の栞がはさまっていて、ああそうか、と思ったのだが、これが「本の知識」シリーズ栞で、本の各部の部位が図解説明されている。なるほどなあ、『モロッコ革の本』を読むとき、これがあれば便利だ。これを持っていた人は、なかなか知恵者だ。経費の点で難しいところだろうが、その本についての理解を深める事項(簡略な年譜など)を栞に刷って挟むというのはいいアイデアですよ。
ところで、栃折さんはすでにこのとき、集英社文庫のプロフィールに生年を明らかにしていないが、1928年12月生まれでもうすぐ82歳。わあ、もうそんなお年なのだな。主要な装幀した作品一覧を見ると、1959年に室生犀星『蜜のあはれ』新潮社とある。なんだ、そうか。栃折装幀『蜜のあはれ』、欲しくなってきたが、日本の古本屋ではヒットしない。ううむ。ヒットした書影をみると、かわいらしい本だ。ヤフオクでは1万円。本文用紙がいい紙つかってるらしい。

光文社新書メルマガ連載「蔵書の苦しみ」第二回がアップされています。母屋を売り渡すような、蔵書処分の苦渋を描いています。
http://www.kobunsha.com/special/sinsyo/member/serial/pdf/zk002_sm0009.pdf

林哲夫さんから、「spin 08 季村敏夫・窓の微風特集号」と、林さん装幀の淀野隆『二人だけの「愛・宇宙」 六十兆個のバラード』近代文藝社をいただきました。「spin」はすでに季村さんから送っていただいてたんだ。しまった、紹介しそびれた。後者は、林さんの「spin」連載と、梶井基次郎好きならすぐピンとくる。名前に「三」を足せば、淀野隆三だ。つまり隆さんは隆三の子息である。大阪万博に深くかかわったようだ。川端康成夫人と親交があるなど、興味深い経歴。ちょっとたじろぐタイトルなのが残念なくらいだ。