しまった! 阿波踊りだ

okatake2010-08-29

昨日、午後から新装なった高円寺西部古書会館「好書会」へ。閉館ぎりぎりまでいて、「ナジャ」でジャズ聞いて、ひさしぶりに「コクテイル」というコースをつくって、でかけたが、高円寺降りたら異様な光景。しまった! 阿波踊りだ。オリンピック前の道路は場所取りのテープが陣地取りで貼られ、警官がうようよ、浴衣姿を含む日本民族が高円寺へ大移動という感じでわさわさしている。ぼくは狂躁的な祭りがどうも苦手で、京都にいるときも一度も祇園祭を見なかったし、高円寺にいるころにも、阿波踊りの夜は下宿にひきこもっていた。結婚式よりお通夜や葬式のほうが好き、というタイプだ。ほんとかね?
新装なった西部古書会館は、なるほど土足のまま上がれるようになっている。床と壁紙が張り替えられたので、明るくなった印象。しかし、売る人も並ぶ本も変わったわけではなく、いつもと同じ印象だ。何かワンポイントでいいから、新装記念のサービス、売り方があってもよかったんじゃないか。千円以上買うとくじが引けるとか、あるいは大放出の廉価台を作るとか。まあ、客側の勝手な言い分ですがね。記念に少し買わせてもらう。
会館を出たら、もう一目散に高円寺を離れる。駅は大混雑で、ロープを張って交通規制がされていた。何がどうして、こんな大変なことになってしまったのか。
車内では届いたばかりの「彷書月刊」9月号を読む。ラス前2号。特集は「総目次前半」。ぼくの連載は1998年1月から、だから目次に名前が上がるのは後半だ。奥定泰之さんの表紙絵も、階段、ネコ、本棚、彷書月刊を組み合わせ、茶色一色でいい感じ.稲垣書店さんの檄が飛んだらしく、巻末目録も充実。
坪内祐三さんの連載「あんなことこんなこと」で、神保町にあったイタリアンレストラン「豆の木」のこと。坪内さん、高橋「月の輪」さんなど、「彷書月刊」がらみの出版記念会、打ち上げがよくこの店で行われた。「岡崎さんの出版を祝う小さな会で『豆の木』に流れ、たぶん過労のため泥酔してしまった山本善行さんがとても面白かったことを私は憶えている」と坪内さんが書いている。そんなことあったっけ。善行もまだ、この頃、酒に弱かった。いまなら、だいぶ鍛えているからだいじょうぶだろう。「スペース、味、酒の量、値段、交通の便、すべてを含めて、『豆の木』はパーティー会場として使い勝手がとても良かった」とあるが、言われて初めて、ほんとうにその通りだったなあと思う。あまり広いと、たくさんの人と交われない。出版社の開くパーティーみたいなのに、すべて欠席の返事を出している引っ込み思案のぼくが、唯一開放された気分で知らない人と交わったのが「豆の木」ではなかったか。ハルミンさんと初めて会ったのも「豆の木」だった。扉野くんと初めて喋ったのも(その前に京都「山崎書店」で、知らない間同士で遭遇してはいるが)「豆の木」だった。いまは九段下へ移転したことを初めて知った。こういう時間と空間のことを書かせると、やっぱり坪内さんはうまいなあ。
おっ、そうそう。「古本屋台」にクボタくんが登場している。似てるなあ。
河出書房新社から澤村修治『宮澤賢治と幻の恋人 澤田キヌを追って』を贈られ、ぼちぼち読んでいる。いわゆる賢治「神話」崩しの本で、賢治の恋とその行方を追う。

今日、立川栄「ブ」で本が全品半額セールがあったのだが、すごかったねえ。開店前から長蛇の列。開いてすぐ、携帯セ取りの放列が始まった。ぼくは105円の文庫を中心に一時間ほどぶらついたが、今度はレジ前に長蛇の列。自分の番が来るまで40分かかった。もっと、ひんぱんにやるといい。買い取りを見るかぎり、半額でもじゅうぶん儲かっているはずで、この日は驚異の売り上げになったはず。
大阪の中尾務さんからハガキ。遅れていた「CAVIN」が入稿したとかで、もう少しでできあがりそう。原稿を送ったのがいつだっけ。昨年の末だったか。ぼくは何を書いたのか。そうか、漱石「門」について書いたんだ。