そっちは志ん生師匠らしい

okatake2010-08-23

先日の落語会で、八朝師がプレゼント用に提供した志ん朝一門による『よってたかって 古今亭志ん朝』文春文庫を、すでに持っていて、八朝師も登場するので読み始めた。志ん朝、若い頃、遊びに夢中でほとんど家に帰らない。寄席で久し振りに父親の志ん生とばったり顔を合わせた。拙いなと思い「お久しぶりです」とだけ行って通り過ぎようとしたら、志ん生が言った。「お袋が心配してるぞ」。その声に遊びを控えるようになった、と八朝。志ん五がすかさず「志ん生師匠の言葉とは思えないね」。
今度は志ん橋。昭和33年3月31日売春防止法適用の前日、志ん生志ん朝を連れて吉原へ女郎買いに行った。売春防止法について、志ん生いわく「あんなもん気にすることはねえんだ。明日っからは裏から入ればどうってことねえ」。志ん五が「そっちは志ん生師匠らしい」。
志ん五は、前名「志ん三(しんざ)」だったが、十人のうち九人が「しんぞう」と呼ぶ。そのとき谷中三丁目に住んでいて、五丁目に引っ越しすることになり、勝手に「志ん五」に改名。東京新聞がおもしろがって記事にした。記事を読んで改名を知った志ん朝が激怒する。当然ですね。なんとかことなきをえたが、むちゃくちゃだ。
落語については、こういう本がいちばんおもしろいね。