空には雲、地上には本

「あしび文庫」さんのブログで知ったのだが、品川周辺を、リヤカーを引いて本を売っている人がいるようだ。「リヤカーブックス」。ビジネス書専門らしいのだが、豆腐を売るみたいに、リヤカーで本が売れるものか、注目したい。
http://ameblo.jp/rearcarbooks/

青空書房・坂本健一さんは、焼け跡の戦後大阪、路上で露天の古本屋を始めた。新歌舞伎座の前あたりだったという。天六の自宅から、それこそ自作の荷車を引いて、ミナミまで毎日歩いて往復したのだ。

季村敏夫さんが『山上の蜘蛛』に続く神戸モダニズム詩研究『窓の微風』をみずのわ出版から上梓されました。装幀は林哲夫。「紙のほーーーん!」という実在感のある造本と装幀です。坂道研究家としては、「坂道を歩いた亡命ユダヤ人」「海の見える坂道」なんてタイトルにまず目がいきます。100ページ強に及ぶ巻末の「兵庫文学雑誌事典 詩誌及関連雑誌」も関西で出た戦前戦後雑誌の及ぶかぎりの総覧。「ARE」も「SUMUS」も出ています。それに昭和47年に描かれた「元町通の古本屋」というイラストで店頭を写した地図もあります。これもうれしい。
木村衣有子さんからは自家製本『味見はるあき』が送られてきた。これがじつによくできている。食べ物の話を見開きで書いたエッセイ集なのだが、あいかわず文書がなんともいい。「うなぎ」は誰かにごちそうされるものと言う「うなぎはごちそう」、「れんげ」の不思議な形状を考察し愛を捧げた「れんげ愛」など、たちまち惹き込まれる。百けんの遺伝子は、どこかで男女入れ替わって女性に受け継がれたのではないか、と女性のエッセイの巧さ、柔らかさ、したたかさを感服しながら思う