土曜日なのに

廊下に積んでは崩れ、収拾がつかないビデオの塔から、「山田太一の世界」という特番を見つけ、みる。「高原へいらっしゃい」のリメイク版放送(これは、まったくダメだった)のときに作られたから、2003年か。「それぞれの秋」「岸辺のアルバム」「沿線地図」「想い出づくり」「ふぞろいの林檎たち」など、代表的な山田ドラマを、出演者、プロデューサー、それに山田自身の証言で分析していく。進行は国広富之。「高原へいらっしゃい」で、錆びれた高原ホテルを立て直すため、田宮二郎が若者たちをスカウトして歩くシーンがあるが、山田によれば、これは「七人の侍」。なるほど。「七人の侍」は有能な者を集めるが、「高原」では、いっけん平凡そうな若者(自分の能力に気付いていない)を集める。「凡人の『七人の侍』なんです」と山田。「高原」では、コミカルな部分を手放さないよう、手放さないよう作った。
また、ぼくの日本テレビドラマのベスト、「それぞれの秋」は、初めて山田が企画から、自分の好きなふうに書いていいと言われたドラマ。新しい家族像をどうして作り上げるか、悶々と銀座の町を歩いて、映画館へ入ると、先にいた若者から「先生」と声をかけられる。それが小倉一郎だった。「なんだか、ふにゃふにゃした若者で、それがおもしろかった。彼を主人公にドラマが作れたらおもしろい」と「それぞれの秋」につながっていく。
八千草薫中井貴一小倉一郎など出演者がつぎつぎに、山田ドラマについて語るが、細川俊之がえらく老い込んでいるのに驚いた。髪は真白、声は小さく(あの美声が)、震えている。どうやら病気をしたらしい。あれから7年、いま、どうしているだろう。
来週から関西入りするので、仕事のし貯め。
アマゾンで安く買った吉田拓郎『歩道橋の上で』が届く。「赤旗」「上京する文学」第一回、漱石三四郎」について3枚書く。15枚から20枚ぐらいのネタを、3枚に圧縮し、しかも詰め詰め感のないよう、余裕を持って書くのだが、それが難しい。なんとか午前中に送付。
告知や受贈書を怠っています。お許しください。
早坂隆『戦時演芸慰問団「わらわし隊」の記録』中公文庫を読む。

ベッドのシーツをえいやっとひきはがし洗濯。やっぱり気持ちがいいや。夕方、関西行きの資金を作るため、妻の運転する車で「音羽館」へ。途中、女子大通りの東町一丁目あたりで、ぐうぜん自転車に乗ったノンちゃん夫婦をみる。「あれ、ノンちゃん」と声に出して、なんだか「お茶漬けの味」の津島恵子みたいだと自分で思う。音羽館に持ち込んだのは、溜まった新刊がトートバック二つと、本棚の肥やしになりつつあったちくま学芸文庫を5段分ぐらい、東京関係のみ1段だけ残して、段ボール一箱分売る。高く買ってもらえてうれしい。これで晴れて下鴨へ行けそうだ。音羽館のフロアを、広瀬くんの下の方のジュニアがちょこまか歩いて、そのあとを奥さんがくっついている。まだよちよちだけ歩き出したコドモの可愛さよ。連れて帰りたくなった。
リニューアル中の「なずな屋」も覗いてみる。作業中の澄ちゃんがいた。レイアウトはそのままだが、本の並べ方は一新。絵本のあった左側棚がすべて紙ものと、マッチラベルの展示、になっている。もう8割方、できているのじゃないか。「楽しそうな棚やん」「(やってるうちに)楽しくなってきました」。表の均一も、よく売れているみたい。
先日、タテキンで買った「こつう豆本」の高橋英夫尾崎一雄回想』を読んでいたら、いい話にぶつかった。芸大でドイツ語を教えていた高橋。女性が目立つ華やかな謝恩会で、一人するすると近づいてきた学生がいて、「ぼくも尾崎一雄が好きなんです」と言った。このあと、続く話がいいんです。なんと山王書房関口良雄の名がからんでくる。また、機会があったら書きます。この話だけで、買ったかいがあった。野呂邦暢『夕暮の緑の光』は、おかげさまで4刷が決まったそうです。といっても、印税が入ってくるわけではないんですが、素直にうれしい。「大人の本棚」『愛についてのデッサン』も増刷されたそうです。今日の夕方みたいに、いい風が吹いている。ほんとうに、夕方の風はすでに秋風ですよ。

ひさびさにユーチューブ見てたら、えっ、何これ?(珍百景)というCMを見つけました。そうか、関西だけなのか。拓郎、何やってんだよ。
http://www.youtube.com/watch?v=4lwF0XzeQRY