セミも夏だと鳴き出した

okatake2010-07-29

ギャツビーで顔と腕を拭いて、あー涼し。夜気が顔と腕をはいまわっている。
猫額洞さんは、ほんとうによく、本を読んでいる。古本屋さんでは珍しいのではないか。近日の日誌では安部公房『第四間氷期』を、ていねいに解説している。『箱男』を「ビッグイシュー」で取り上げようと思っていたところなので、興味深く読む。それにアップされている写真がいつもいい。風景の切り取り方、視点ともに秀逸。なるほどなあ、といつも感心している。
http://byogakudo.exblog.jp/
今朝、TBS新宿まで渋滞が続き、着いたら8時過ぎていた。ひさびさに危なかった。TBS玄関には夏休みの女子中高生が行列を作っている。嵐の番組をスタジオ見学するらしい。黒塗りの車が玄関に止まったので注目されたが、出てきたのがぼくみたいなおっさんで申しわけなかった。『同潤会 大塚女子アパートメントハウス』ドメス出版を紹介する。
神楽坂下へ移動。「ギンレイ」で1本。サンドラ・ブロック主演の「しあわせの隠れ場所」を観る。タイトルを見るとげえっ、となるが、スラム育ちで親からも社会からも打ち捨てられた大柄の黒人少年を、ある夜、車で拾い、家に連れ帰り、家族の一員として迎え入れる。少年はやがて、アメフトに才能を見いだし、全米代表のスターとなるというサクセスストーリー。実話だそうだ。観客はみな、よく笑い、ストーリーに感応し、涙を拭いていた。よくできた映画じゃないかな。
「ブ」でカミュ『ペスト』新潮文庫の改版があったので買う。『野田ともうします。』の「2」も400円で出てたので買う。サンデー毎日は、毎年夏恒例の戦争本特集。いつもより長い枚数で、9冊を取り上げる。
中公文庫新刊、早坂隆『「わらわし隊」の記録』を三省堂で買う。
眠気がピークで帰宅。
夕方、ぐーすか寝て、涼しくなった夜、北海道新聞井上ひさし『一週間』書評にとりかかり、難渋、行きつ戻りつしながら、なんとか着地。いちおう、締め切り日に送る。とにかくあんこがたくさん詰まった大作で、すっきりと書評にまとめるのがひどく難しい。書評って、ほんと、一回、一回が勝負で、そのつど方法論と文体と仕掛けを見つけ、着地させなければならない。主人公は昭和初期「赤旗」にかかわる左翼くずれで、昭和21年に40歳ぐらいだから、井上が五歳のとき亡くなった父親と重なる。前も書いたが、井上の父親は小説家志望で、「戦旗」に小林多喜二とともに目次に名を連ねていた。ほんとは、ここに力点を置いて書きたかったが、枚数が許さず、最後にちょっと触れただけに終わった。あんまり、自分の主張を強めすぎると、書評がいびつになる。さじ加減がじつに難しい。
ほんとは、もう一つ、原稿を仕上げたかったが、ここで力つきた。もう一枚、ギャツビーで顔を拭いて、酒を飲んで、アメトークだ。