みちくさ市終わる

okatake2010-07-25

昨日酷暑の「みちくさ市」を支えてくださったスタッフのみなさん、さんきゅうです。
いやあ、暑かったねえ。2時始まり、ということで、「高円寺」で下車して即売会を覗き、ちょっと仕入れ。新書、文庫がけっこう100円200円で出てた。手もとに売らずに残ったのは、『にっぽんコミューン』朝日新聞社(79年)、猪谷六合雄『雪に生きる』岩波少年文庫、『ヘンリ・ライクロフトの私記』岩波ワイド文庫など。
ほんとは目白「ブ」も見ていこうと思ったが、目白についたらもうグロッキー。銀行で少しお金をおろし、ドトールでアイスコーヒー、バスで鬼子母神前へ。この三つが数歩でできるのが目白。初めて出店するキク薬局さんの前に本を並べ始めると、じかに地面の熱が。もう、これは今日はダメだなと覚悟する。しかし、けっきょく3万円ほど売れたから、よくぞ、みなさんあんな暑い中、露店で古本を買ってくださったものだと思う。アイスやドリンクの差し入れも相次ぎ、なんとか無事に閉店。ハニカミ高校生くんはけっきょく来なかったなあ。柳原良平『船の本』函入りを1200円で出していて、一人のちょっと変わった喋り方をする若い女の子が手にとって、「へえ、これ何のホンですかあ」なんて聞く。800円に負けてください、というのを1000円で手を打って売る。柳原良平を知らずに、柳原良平を買っていった。おもしろいなあ。この日は暑いせいもあって、どんどん値下げして売っていく。4、5冊次々腕に抱えた、感じのいい女性がいて、これは全部、値を引いてしまう。そのやにさがったえこひいきを糸織ちゃんに一部始終を見られてしまった。「まったく、もう、しょうがないですねえ」なんて言われてしまった。
引っ越しの真っ最中の工作舎Iさんも差し入れつきで顔を見せてくれた。ぼくの本も何冊か並べたが、「あのお、これご本人ですか」と、何人かの読者の方にも声をかけられ、サイン入りで売った。ありがとうございました。
早々と片付けをして、旅猫通りにある「高砂湯」という銭湯へ行く。両手に荷物いっぱいのトートバック、座り椅子、眥にリュックと、まるでホームレス。いちおう、暢気文庫に集まった女子に「どうかな、ホームレスと間違えられないかな」とリサーチしたら、「ぎりぎり、セーフ」という微妙な判定。高砂湯は「いまどきの銭湯」(武藤良子評)で、脱衣場の箱を三つも使って荷物を入れ、湯船に浸かる。いやあ、最高。ペンキ絵は竹林と珍しい。湯に浸かってたら、あらら、エンテツさんが入ってきた。エンテツさんも武藤誘導でこの湯へ。
湯上がり、ブラブラ歩いて鬼子母神駅近くまで戻り、打ち上げ会場「アミ」へ。住宅街のなかにあるそうだが、ぼくもエンテツさんも初めて。大鳥神社から路地をキュキュキュと入って、と武藤さんに説明を受けたのだが、本当に路地をキュキュキュっと入ったら「アミ」の看板が見えた。民家を改装した居酒屋で、ご夫婦(でしょうね)二人でやっている。一番のりのエンテツさんと二人、とりあえず生ビール。くーっ! 労働、銭湯、果てに生ビール。「わたし、これ以上の幸せがあるとは思えない(「晩春」原節子のセリフより)」。
この日、みちくさ連が30名、ほかに一般の団体10名と2名とか、もう大変なことになる。おかみさんが、バネ仕掛けの人形みたいに右往左往し、パニック寸前になっていた。
瀬戸くんと山田洋次山田太一を中心に映画、ドラマの話を長時間真剣にする。瀬戸くんの目が何度か真っ赤になって、こちらもつられて目がうるむ。瀬戸くんと、そんなふうに、いい話ができて、この日の収穫となった。
今朝、朝日の読書欄、著者インタビューに魚雷くん登場。うおっ、と思わず声が出る。写真はコクテイルだな。魚雷君、かしこそうに、男前に写っている。

みちくさで稼いだ金で、ひさしぶりにCD三枚買う。一枚はカウント・ベイシーオスカー・ピーターソンが組んだダブルピアノ。それから、ふちがみとふなと『バブの店先』が珍しく「デ」にありました。神楽坂のライブで大いに笑いをさそった「せんたくとおひさま」、それに「坂をのぼる」「ガラスと夕焼け」といった名曲も入ってるぞ。あと一枚、ECMで、ジャズのところにあって、単色バックのシンプルなジャケットで、「Ke」とだけ見えて、もう、これはキースジャレットだ、裏面を見ると、チェロとのデュオだ、と、珍しいなと思って買ったら、これが北欧のケティル・ビョルンスタというピアニストの盤だった。ぼくは、ケティルについて何にも知らない。モンゴさんなら、「ああ、それは」と教えてくれるだろう。で、聞いてみると、これがいいんです。ジャズともクラシックともいえないような、瞑想的世界で、ECMらしいと言えばそれらしい音楽世界で、ちょっと涼しくなりました。