鎌倉へ

okatake2010-07-15

ジュンク堂京都BAL店で、黒岩比佐子さん『古書の森逍遥』発刊にちなむフェアが7/17(土)から開かれます。
5Fエスカレータ上がってすぐのフェアコーナーに黒岩さん著書、選書した本、sumusの6人の選書と著書が並ぶ。
下鴨神社の古本市にあわせたフェアとして1ヶ月以上は続けたいとのこと。
sumus同人の黒岩さんへのコメント、黒岩さんと同人たちの選書リストなどを小冊子「古書の森ガイド」にし、店頭で配布されます。
将来、古書価がつくこと必至(?)。関西在住のみなさん、急いで駆けつけてください。

今日は、朝、TBSラジオで「さいとう・たかを自伝」を紹介し、天気がいいので、ハイヤーの運転手に藤沢まで送ってもらう。年に一度くらいだが、黒塗りの車の後部座席にふんぞりかえり、大名気分が味わえるのだ。横羽線はいつも使う中央道とちがって、工場地帯を走るので、風景がまるで変わる。アップダウン、カーブも多く、ちょっとスリリング。藤沢では聖智文庫さんへ寄るつもりで、10時から空いてる「太虚堂」、「ブ」で少し時間をつぶす。それぞれちょっと買いました。しかし「聖智」さんは三日間、臨時休業だった。しかたない。江ノ電に乗って鎌倉へ行くか。江ノ電はときどき無性に乗りたくなる大好きな電車で、交通機関というより、ぼくにとっては娯楽施設だ。腰越から鎌倉高校前へ行く途中から、いきなり目の前に相模湾が広がる。白い波頭が走り、サーファーたちが大挙して押し寄せ、波にまたがっている。海が見える。やっぱり来てよかった。このまましばらく海を見ていたい気持ちだ。
江ノ電に乗車する六十後半から七十年配の女性が、みな、身だしなみが整っていて、着ている服も上等だ。サングラスをしている女性も多い。それがよく似合っている。湘南マダムとでもいうのかしらん。腰越、と聞くと、腰越漁協、黒沢の天国と地獄、とすぐ連想がいく。今度、江ノ島で降りて、ぶらぶら七里ケ浜あたりまで歩いてみよう。大して金は使ってないが、ぜいたくな気分だ。
鎌倉では芸林荘など古本屋を数軒撫でて、鎌倉近代美術館へ。芸林荘の100円均一に、ずいぶん古いペーパーバックが大量に出てました。近美では「鬼と遊ぶ 渡辺豊重展」をやっていた。ばかでかい抽象画で、わずか15分くらいで見て過ぎた。これなら赤塚不二夫のマンガを拡大して見せてくれたほうがよかった。ほんとうは常設展を見たかったのだが。松本竣介の絵葉書をショップで二枚買って、一階の蓮の池をしばらく長椅子に座って眺める。白い天井に、池の揺れる水面の光が、踊るように反射している。別館の「20世紀西洋版画の展開」も見るが、もう関心の火種を失って、これもざっとなぞっただけ。客はあと一人という閑散ぶり。小町通りの混雑がウソのよう。
帰り、お土産に「鳩サブレ」を買い、うまく大船で湘南新宿ライナーをつかまえ、国立まで帰ってきた。バスの時間にまだ間があって「デ」と、道草を覗く。「芸術新潮」の横尾忠則の大冒険特集号が200円であって、これが今日いちばんの買い物かもしれない。34ページの「記憶の鎮魂歌」という絵を見てドキッとしたのは、かつて、横尾忠則の取材でアトリエを訪れたとき、カベに何枚も油絵が重ねて立てかけてあって、そのうちの一番上の一枚をぼくがひっかけて倒しかけたことだ。もし傷がついたら、一生働いて返さねばならない、と尻の回りの毛まで逆立ったが、横尾さんは「だいじょうぶだよ」と平然と許してくれた。ふつう、怒るよ。一緒にいた編集者も、あとで「心臓がつぶれそうになった」と言っていたぐらい。その絵が「記憶の鎮魂歌」だったのだ。写真はそのアトリエ。こんな感じで絵が無造作に立てかけてあったのだ。
電車のなかではジャズピアニスト南博『白鍵と黒鍵の間に』小学館文庫を読む。これ、おもしろいなあ。

芥川・直木賞、決まりましたね。両方とも女性。しかも初のノミネートで受賞だそうです。ぼくはどんどん関心から遠ざかるなあ。ほんとはこういう仕事をしている以上いけないんですが。
http://www.nikkei.com/life/news/article/g=96958A9C93819695E3E7E2E7958DE3E7E2E5E0E2E3E29180EAE2E2E2;da=96958A88889DE2E0E3EAEAE7E6E2E0E3E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2