今日は涼しい。選挙をすませ「週刊ブックレビュー」再放送で、堀江敏幸さんが『夕暮れの緑の光』を紹介してくださるのを拝聴する。最初を飛ばしてみたので、一緒に出たほかの二名が誰かわからなかったが、長髪のひげ面は曽我部恵一。えっ、こんな顔だっけ。もう一人の女性は青木るえか。ぼくは読んだことがない。しかし、『諫早菖蒲日記』を「時代劇」「時代劇」と言ってたのはいただけませんねえ。「時代劇はたしかこれ一本」と間違っているし、まあ、単に野呂邦暢にまったく興味がなかった、ということだろう。いや、それはいいんです。堀江さんが応援してくれれば、それでじゅうぶん。
山口瞳『余計なお世話』をパラパラと読んでいたら、ロイ・ジェームスの名前が出てきて、なつかしい。調べたら1982年に53歳で死んでいる。ちょうどいまのぼくの年。変な外人と呼ばれる一群の外国人タレントの一人で、軽妙な司会が売り物だった。父親はトルコ生まれで、ロシア革命後日本に亡命してきた、いわゆる白系ロシア人。ロイは東京下谷生まれで、べらんめえの江戸弁をしゃべっていた。成瀬の「浮雲」で米兵役をしているが、だから、英語はまったく喋れない。のちに日本に帰化するのだが、戦中は、青い目ということでずいぶんヒドい目にあったらしい。永六輔が紹介していたエピソードで、手術でへそを取ったロイが、寂しがって、へそのあたりにマジックで印をつけていた、という話があります。
このロイ、小島正雄、三木鮎郎とか、ちゃんと背広をきこなして、洒脱で品のある司会者がむかし、ずいぶんいました。