ひどいよ「怪人二十面相」

okatake2010-06-21

「ブ」のDVD廉価コーナーに、昭和30年に作られた乱歩もの、松竹『怪人二十面相』『青銅の魔人』が各500円で出ていたので買った。意外にも両方とも2時間余りある長編。いずれも4部、3部とテレビドラマのような構成で、おそらく、添え物として子ども向けに公開されたのだろう。
この2作を二日に分けて見たが、子どもだましをとおり越した、ばかばかしい作りで、なんとも我慢を重ねながら何とかエンドへ。せめて、もう少し東京の風景がたくさん映りこんでいれば、それが見どころになるが、それも少ない。主演の明智を演じた若杉英二が、下ぶくれの目力だけある大根で、使えない役者だ。突っ込みどころ満載で、たぶんこの映画は、数人で、なんだこれ、とツッコミながらゲラゲラ笑うとなんとか見られるタイプ。
「あった、あった。」は河出絵葉書文庫、野口久光『懐しの名画ポスター』。あれこれ書きたいこと山ほどあれど、それを10としたら、3・5に圧縮し、さらに2まで原稿を削りながらまとめる。乗ってやっている仕事だが、400字はきびしい。
川本三郎『いまも、君を想う』読了。黒岩比佐子『古書の森 逍遥』も読み続ける。そう言えば、以前、川本さんに原稿依頼や取材の電話をしたとき、恵子夫人が電話口に出て、コトバを交わしたことを思い出した。このとき、川本さんが朝型で、夜9時以降に電話は禁物と知ったのだ。
白水社より新刊、ウィリアム・リッチー・ニュートン 北浦春香訳『ヴェルサイユ宮殿に暮らす 優雅で悲惨な宮廷生活』をいただきました。ヴェルサイユ宮殿の文化史、生活史ともいうべきノンフィクションで、ヴェ宮には王を頂点に千人以上の人が暮らしていたという。一つの町ですね。226の居室は迷路のようで、彼らはそこでどう暮らしていたか、資料をもとに再現する試み。清潔な水は確保できたか、排泄はどうした、洗濯は? と下世話な視点で、ヴェ宮の実態を明らかにしていく。宮殿というと、華やかな面ばかり目がいくが、そこで人が毎日生活していく以上、下々の者と同じ日常の暮らしがあるわけだ。おもしろそうな本である。