胸にふりつづく光があふれて見えない

okatake2010-06-19

黒岩比佐子さん新刊『古書の森 逍遥』工作舎、ついに出た。2004年から始めた古書購入ブログの膨大な蓄積のなかから、4分の1ぐらいを選び、明治から時系列に並べなおした。それでも、2段組400ページ近くある。これでアトランダムに買ってる雑誌、雑書が、一種、ストーリーをもって川のように流れていることがわかる。もともとスポーツウーマンの黒岩さんが、ひたすら古書展という非スポーツ系閉鎖泥沼空間に通い、そこで見知らぬ本と出逢う喜びを知る。どのページにもそんな喜びと喝采があふれている。買った値段がいちいち記してあるのもいい。ときどき、病膏肓に陥った自分を笑うユーモアもある。黒岩さんと言えば、明治、と思っていたが、この本では半分が大正、昭和の本。いずれにせよ、工作舎から出たことで、工作舎の宇宙にまた星が加わったという印象。時事通信社から偶然、書評依頼があったんで、がんばって書きます。「興居島屋」へ寄ったとき、澄ちゃん制作の『古書の森 逍遥』招布を見せてもらったが、カバーの絵をそのままシルクスクリーンで再現した、息をのむできばえ。開催中の黒岩比佐子フェアのあちこちで見られることでしょう。刮目して待て。
ついで、と言っては何ですが、小池昌代さんが詩を読む中学生と教師の交流を描いた長編『わたしたちはまだ、その場所を知らない』河出書房新社田中貴子さん『中世幻妖 近代人が憧れた時代』幻戯書房久生十蘭久生十蘭ジュラネスク』河出文庫などをいただきました。そのほか、海野弘『花に生きる 小原豊雲伝』平凡社、三橋俊明『路上の全共闘 1968』河出ブックス、三谷龍二『僕の生活散歩』新潮社、原武史重松清団地の時代』新潮選書などの気になった新刊が机まわりに待機中。どこまで読めるか。
昨日は神保町経由でサン毎。行きの中央線が、あれやこれやで遅延しすし詰。ぐろりあ展、タテキン、コミガレで何も買わず。文省堂で矢代静一『銀座生まれといたしましては』を拾っただけ。サン毎を終え、帰りめずらしく高円寺下車。雨が降ってきた。100円ショップでビニール傘購入。「都丸」カベキンで川本三郎さん『荷風と東京』都市出版をカバーに疲れ感あるが800円で、これを買う。岩波現代文庫版を買っていたような気がするが、なかを開くと、やっぱりこれが欲しくなった。そういえば、川本三郎さん『いまも、君を想う』の書評依頼があった日は、一昨日、亡くなった夫人、川本恵子さんの命日だった。
そうそう、京都で母親から聴いた話。弟がオーナーのユーミン・バー「キャラメル・ママ」の店長が、ユーミンと懇意にしているお客さんを通じて、電話でユーミンと話すことができたそうです。ちょうどそのとき店内でかかっていた曲にあわせて、当の本人がちょっと歌ってくれたという。いい話ですね。