探したけれど見つからないのに

okatake2010-06-07

「あった、あった。」は、『小説 巨人の星』。これ、5巻まで出てたのね。ぼくの持ってるのは、巻数表示なしで、これ一冊で終わる予定だったのが、バカ売れで、たぶん追加されたんだと思う。推測だが、ほぼ梶原一騎の原作の原稿そのままだと思われる。原作は相当、大げさ、常套句、感情過多で、マンガになってよかったのだ。
教育誌2つ、コラム書いて送ったが、よく考えたら、これは月半ばの締め切りだった。まあ、早く送る分にはいいだろう。昨夜、ETV特集で、劇作家としての井上ひさしを追悼していた。書斎が画面に映りました。なるほど。「蟹工船」が掲載された「戦旗」に、井上の父親の原稿「プリントの書き方」が掲載されているというのに驚く。父・井上修吉は作家志望で、「サンデー毎日」の小説懸賞に小松滋の名で入選。同じ入選者に井上靖がいた。「こまつ座」は、出身の小松町とともに父の名にちなんでいる。この「プリントの書き方」が、プロレタリア活動に必需のガリ版の有用性と地下活動のあり方を書いたもので、ユーモアたっぷりの筆致は息子に受け継がれている。お母さんの話はよく出てくるが、じつは井上ひさしは、この5歳の時には亡くなっていた父親に大きく影響されている。
「プリントの書き方」を無性に読みたくなった。
どうしても必要な本がいくら探しても見つからない。買いなおすしかないのだ。けっこう高い本なのだが。サイトウキネンの初期メンバー、今井信子ヴィオラ曲を弾いた「鳥が道に降りてきた」を聴く。このタイトル曲は、武満が今井のために書いた曲なり。
今週、録りのある週刊ブックレビューの課題本、西村亨『源氏物語とその作者たち』、川上弘美『パスタマシーンの幽霊』をひたすら読む。直前に読まないと、ほかの書評の仕事の本を挟むと、忘れてしまう。
小学館から出た「永遠の詩」シリーズ『八木重吉』を読む。各ページ、井川博年の簡潔な解説がよい。八木の死後、とみ夫人は吉野秀雄のもとに身をよせ、のちに結婚するのだが、小林秀雄が吉野宅を訪ねたとき、とみが応接して、そのとき、亡夫の詩集を見せた。一読、感心した小林は、顧問をしていた創元社に進言、それで創元社から選詩集が出て、これで一躍、八木の名が知られるようになる。

八木重吉「草をむしる」

草をむしれば/あたりが かるくなってくる/わたしが/草をむしっているだけになる

反歌
岡崎武志「金がない」
金がなければ/ふところが かるくなってくる/わたしが/ふところ手をしているだけになる