上林暁と「ささま」書店

okatake2010-05-24

明け方、電話の子機がピーピー鳴り響き目が覚め、しばらく眠れず。あとで聞いたら、夜中停電があって、それが回復したとき、それを知らせるために鳴ったようだ。便利なような迷惑なような。
昨日は雨のなか、杉並区立郷土博物館へ。ここで上林暁展をやっていて、この日は、上林暁の妹・徳廣睦子さんと、中央線文学に日本一精通している萩原先生とのトークがあった。和田堀公園脇、電車がまったく通らない杉並の空白地帯にあるため、行き方をいろいろ考えたが、井の頭線「永福」から歩くことに。15分くらいてくてく、静かな住宅街を抜け、博物館へ。かつて中央線本を作ろうと、当時某社にいた編集者Tさんの先導のもと、ライター仲間が集まって、あれこれ動いていたとき、来たことがある。それ以来。入口で、上林暁書目を作った「山王書房関口良雄未亡人と遺児の関口さんが見えていて挨拶。窓口で入館料100円と、トーク整理券をもらう。一階展示室に、上林始め、阿佐ヶ谷会の作家たちの生原稿や本が並ぶ。上林の創作集29冊のコンプリートは圧巻。会場に見えていた上林ファンの新潮社・Yなどの協力もあったという。それでYさんは、関係者席に座っていたのだ。萩原先生もYさんも、青柳いづみこさんを中心とした「新阿佐ヶ谷会」のメンバーなり。
会場には魚雷くんも来て、並んで話を聞く。睦子さん今年90歳ということで、萩原先生の質問に淀みなく、というわけにいかなかったが、いろいろ興味深い話が聞けて、むしょうに上林が読みたくなる。カバンのなかには、講談社文芸文庫の『白い屋形船/ブロンズの首』を入れていた。巻末に睦子さんがエッセイを、ほか、高橋英夫の解説、保昌正夫による作家案内と著書目録と、うなるような組み合わせのフロクがついている。これがいまでは手に入らない。
そうそう、会場で展示された上林の写真を見ていたら、井伏、太宰、木山捷平などと奥多摩遠足をした有名な集合写真があるのだが、その写真説明がまちがっていると館の職員に指摘している人がいて、聞き耳をたてたら、それが上林の親友で写真にも写る浜野修の息子さんだった。「青柳瑞穂」と書かれてあるが、これは「林」という人だと指摘していた。
帰り、魚雷くんとバスに乗って高円寺へ。ぼくは新高円寺で下車し、未踏の新高円寺「ブ」、荻窪「ささま」と回って帰る。「ささま」には、なんということか、上林の著作が20冊ぐらいずらりと並んでいた。ノムラくんに聞いたら、一括で買い入れがあって並べたんだ、とのことだった。一冊2000円から3000円ぐらいが中心。さっき、博物館でガラスケース越しに見た、珍しい上林著作を、手にとって眺める。こういうことが起こりうる中央線の古本屋って、ほんと、すごいよ。ノムラくんによれば、上林の本は、入るとすぐ売れてしまうらしいので、現物見たい人は「ささま」へどうぞ。
新高円寺「ブ」は小型店で、こういう店こそあなどれないのだが、しょぼしょぼと文庫を2冊。荒川洋治『ボクのマンスリー・ショック』新潮文庫は見つけたら買う一冊。風俗ルポに田村隆一の詩が出てくるのが荒川流。カバーはつげ義春平野甲賀
いまから「あった、あった。」で『ウィッキーさんのワンポイント英会話』について書きます。

本日より、早稲田大学正門前で青空古本まつりが開かれます。今日は雨だが、明日は晴れそう。「イワト」でふちふなを聞く前に覗いてみようかしらん。

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彷書月刊6月号は「豆本型録」特集。ぼくは大阪の「花月書房」を「サンポマガジン」の紹介をからめて書いています。
受贈書の紹介、さぼっていますが、青柳いづみこさんの『音楽と文学の対位法』中公文庫、川上弘美さんの新作短編集『パスタマシーンの幽霊』マガジンハウスはうれしい二冊でした。

黒岩さんの工作舎本出版に関連して、応援イベントが各地で開かれます。下記のサイトをご参照ください。
黒岩比佐子『古書の森 逍遙』イベント関連特設サイト:
http://www.kousakusha.co.jp/DTL/kuroiwa.html#event